一週間振りに行った学校は新鮮で、アメリカにいたことがとても長かったのではないだろうかという錯覚をするような感じだ。また、日本の安全さがよく分かった。ここ暫く忘れていたけれど、安全って素敵。
「そうは思いませんか、コナン君や」
「……どうして僕に聞くの」
「毛利さんがコナン君がウチに来てからお父さんのところに仕事が来るようになって忙しくなった、って言ってたからだよ少年」
そんなこと、私には一言も言っていないのだけれど。鈴木さんになら言っているかもしれないが、深く入りすぎないようにしていた私に、彼女がそんなこと言ったことはない。
久し振りに日本に戻ってきて工藤君に会ったのだから、コレぐらい突っついても許されるハズ。
「そ、そんなことないよ、やだなぁ呉羽姉ちゃん」
苦笑いを浮かべる彼は、嘘が苦手なことは健在らしい。
学校帰りに珍しく一人で歩く工藤君を見かけて話しかけたら思いの外盛り上がってしまったのだ。主に私が。
「あんなに可愛い幼馴染みを放って、工藤君は何をしているんだろうねぇ?」
「……………………」
愛しい人を護りたいと思うのは、きっと誰だって同じ。私だって、工藤君だって。
「危険から遠ざけて護ることも大事だけど、それで心配させないことも大事だよね」
「……呉羽、」
工藤君の顔が、私を疑うような鋭いものへと変わる。私がどこまで知っているのか探るような、そんな顔。
でも、そんな簡単に手の内なんて見せてあげない。
「なんてね」
「……え?」
私が笑みを浮かべてコナン君と視線を合わせれば、ぽかん、とまるで鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をしていた。
彼の表情は高校生の頃より今の方が豊かな気がするのは、気のせいなのだろうか。
「何を小学生に愚痴ってんだろうねぇ、私は」
「呉羽姉ちゃんは、不安?新一兄ちゃんが突然いなくなって」
「やっぱり、少しはね。探偵って人に逆恨みされることもあるし、殺される可能性もあるんでしょう?私だけじゃないよ。毛利さんだってきっと同じ」
「……そっか。じゃあ、僕から新一兄ちゃんに言っとくね」
「ん、お願いね」
しんみりとした空気の中、コナン君と他愛もない話をして別れる。工藤君は、赤井さんに似てるから。似てるからこそ、重ねてしまって恐怖を感じる。
(そういえば、哀ちゃんはもう博士のところにいるのかな…)
工藤君がコナン君になって、3億円事件が起きた。その後も私が関わっていないだけで時は進んでいる。この先、どの事件が起きるのかはわからない。また、原作にはない話だって自ずとある。
暫く様子を見てみようか、と息を吐いたとき、ポケットの中で携帯が震えた。
2015.01.25
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