「呉羽姉ちゃん、何かあった?」
「すごく怪しいものが一つ、ね」
あれから高木刑事をなんとか説得して肩車をしてもらい、私が蓋を開けてエレベーターの外へと出た。コード類が無造作に散らばるそこに、光る文字盤が動き続けている。ゼロへと近付いていくタイマーは、ソレが爆発するタイムリミットを示していた。
「呉羽姉ちゃん、怪しいものって!?もしかして…!」
「爆弾だね」
コナン君の言葉に、爆弾を見たまま答える。どうやら高木刑事は佐藤刑事と電話で話しているようで、これからどうするかについて話しているようだ。
ざっと見るところ原作で見ていたものと同じもので、中には水銀レバーが入っている。高木刑事に肩車をして上がらせてもらえるコナン君ならまだしも、高木刑事が勢いをつけてこのエレベーター上に上がれば振動で爆発するだろう。ご丁寧に盗聴器もあり、ここで先を知っている私が変なことを口走れば、口封じで爆発するのかもしれない。
「水銀レバーがあるから、変に上に上ると爆発するよ」
「す、水銀レバー?何だいそれ?」
息を飲むコナン君とは対照的に、高木刑事が尋ねる。私が本来いるべき世界で呼ばれていた名称は水銀スイッチで、容器内の水銀が振動や傾きなどより端子と水銀が触れあうことで通電する仕組みのものだった。それが爆弾に使われてたかは、分からないけれど。でも、見る限り恐らくそれと同じものだと思ってもいいのだろう。
「高木刑事、肩車して!」
「え?」
「いいから早く!!」
下から聞こえてきたコナン君の声に、私の肩がビクリと揺れた。高木刑事もコナン君に圧倒されたのか、どうやらコナン君を肩車しようとしているようだ。
止めようと思っても時すでに遅し。
揺らさないように慎重にではあるけれど、コナン君がエレベーターの上へと上がってきた。
「出来れば子どもは下にいて欲しかったなぁ…」
「今はそんなこと言ってる場合じゃないよ」
コナン君が上に上がったとすると、一体私は何のためにここにいるのだろうか。
とりあえずいろいろと爆弾を見ているコナン君に苦笑いをしながら、こちらを見上げている高木刑事に顔を出す。
「レスキュー隊に来てもらおうにも水銀レバーがある以上、変にここに着地して揺れたら爆発するし…爆弾のそばに盗聴器仕掛けられてるんで、上からロープを降ろしてもらって上がるっていうのも厳しそうですよ」
「じゃあ、どのみち八方ふさがりってわけか…」
「いや…手はもう一つ残ってるよ…」
爆弾を探っていたコナン君の動きが止まる。結局そうなるのか、と思いつつ小さく息を吐けば、コナン君がこちらを見ながら笑みを浮かべる。
「僕と呉羽姉ちゃんがこの爆弾を解体するんだよ!上から爆弾処理の道具を降ろして貰ってね!」
主に解体するのはコナン君になるのではなかろうか。そして私は解体したということにされるのでは。インタビューだけは御免だ、秀一さんに知られたら私の身が危ない。
私に向けてニコリと笑ったコナン君を見て、少しだけ彼を殴りたくなった。
2015.05.24
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