Marguerite

何者かなんて私が知りたい

 
「ゆっくり降ろせよ!そーっとそっーと!」
「オーライ!オーライ!」

上の展望台のエレベーター入り口から、爆弾処理班の人が爆弾処理の道具を下ろしてくる。
それを受け取るのはコナン君。とりあえず私は爆弾の他に変なものがないかを念のため見回している。ざっと見ても、爆弾以外の不審物は置いていないようだ。

(まぁ、爆弾の設置も時間がたっぷりあったわけではないよね…)

犯人がどうやってこの爆弾を設置したかは分からないけれど、時間がたっぷりあったとは考えにくい。とりあえず爆弾を置くことにだけ専念したのだろう。

「コレが爆弾内部の情報ね?」
「うん、そうみたい」

受け取った爆弾処理の道具の中から暗視用赤外線スコープをつけ始めるコナン君。こちらに渡さずに自らにつけ始めたということは、爆弾の解体は彼がするということなのだろう。まぁ正直爆弾なんて機械関係はもともと強いとはいえ触るのは初めてだ。それならば彼に任せた方がいいのだろう。
私は内部情報の一部をエレベーター内にいる高木刑事に渡して、一部は私が持つことにした。原作では高木刑事の話も聞かずに解体していたし大丈夫だろう。

「高木刑事には、私が適当に返事しとくから気にしないで解体しといてよ」
「…あぁ」

フッ、と電気が消えて、コナン君が転がって爆弾の解体を始める。そんな彼にだけ聞こえるように言えば、私にしか聞こえない声だからなのか猫を被ったものとは違う低めの声で返事をされる。
何故コナン君に解体させたのかと問われればコナン君の方が手先が器用で手も小さいからとでも言っておこうか。爆弾処理班の人って男の人が多いとか言われたら終わりなのだけれど。

「まずはそのカバーを外すんですね?…今のわかったかいコナン君?」
「…カバー、外し終わりました」
「カバーを外すと変な機械がいっぱいあるだろ?その上の方に」

高木刑事の言葉に耳を傾けつつ、手際よく爆弾の解体を進めていく工藤君を見る。果たして彼は正体を隠すつもりがあるのだろうかと言いたくなるような手際の良さだ。
ふいに、プラスチックのストッパーをかませた後に工藤君の動きが止まった。どうやら、防御率のことに気が付いたらしい。それと同時に、爆弾の液晶パネルも文字が表示され始める。

(とうとう来たか……)

高木刑事に相談を始めたコナン君を横目に、私は口元に孤を描いた。

 + + +

「へー…あの暗号にはそんな意味が…」
「あんまり大きな声出すと爆弾犯に聞こえちゃうから…」

エレベーターの中にいる高木刑事がコナン君と話す。コナン君は爆弾がある場所がどこかの学校であるということまでは分かっているらしい。ただこの辺りの学校というのは小中高全てと考えるとかなりの数がある。そこから絞るのは爆弾の爆発三秒前に液晶パネルにヒントが出るからそこからにはなるけれど。

「呉羽姉ちゃんは、おおまかに予想がついてたりするの?」
「……なんとなく、ね」
「なあコナン君と呉羽さん…。ついでだからもう一つ教えてくれよ。君たちはいったい…何者なんだい?」
「ああ…知りたいのなら教えてあげるよ…」

鈍い高木刑事でさえも、怪しいと思っていたらしい。これはホントに隠すつもりないだろ死神ホイホイ。この後の彼の言葉を知っている私は、爆弾の残り時間を確認しながら口角を上げる。

「あの世でね…」

もし死後の世界があるとして、死んだら彼はどっちの姿なのだろうか。
コナン君の言葉に何とも言えない表情をした高木刑事は、何か言いたげに私を見る。正直あんな決め台詞をされた後に発言するのはちょっとツラい、と思いつつ高木刑事が求めているのは私の回答。私は高木刑事を安心させるように笑みを浮かべる。

「私は、ただ恋人に一途な普通の女子高生ですよ」

2015.05.30
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