Marguerite movie

爆弾の前で

 
コナン君に案内された、起爆装置が仕掛けられた消火栓。秀一さんは車軸に配置されている爆弾の確認、安室さんはその前に座ってトラップを解除している。

「どう?安室さん」
「もう少しだ…」

パキン、という音と共にトラップが解除され、仕掛けられていたトラップが外れる。変に扉を開けたら爆弾が容赦なく爆発する仕掛けのようだ。

(さて…。私は、どうするかな)

ここから先、秀一さんは時間を稼ぐために上へと戻る。安室さんは爆弾の解体。コナン君はキュラソーの元へ。見事にバラバラに動くんだったな、と思い出す。
そのとき、ダンッ、という音がした。顔を上げれば車軸へと行っていた秀一さんが戻って来たようだ。

「どうだった?赤井さん」
「やはりC-4だ。非常に上手く配置されている。全てが同時に爆発したら車軸が荷重に耐え切れず、連鎖崩壊するだろう」
「なるほど…。悩んでる暇はなさそうですね」

消火栓の扉が、安室さんの手によって開かれる。消火栓のホースを手で開けば、その先には起爆装置。それを取り出す安室さんがコナン君と秀一さんに駆け寄る。

「秀一さん、ライフルバッグに工具入ってませんでしたっけ?」
「あぁ。ただ、ライトは無いがな」
「大丈夫です。私携帯持ってるんで」

秀一さんがライフルバッグからライフルを取り出す。私がライフルバッグの中身を見れば、そこには、ずっと前に元の世界で見たことがある工具入れ。途中で真っ暗になったときは私の携帯がライト代わりにちょうどいいだろう。

「お前は、ここに残れ」
「え?」
「俺と来ると危険だ。ここなら、爆弾さえ爆発しなければ安全だ」
「それ安全って言わないと思うんですけど…」

正直今の遊園地はどこも安全とは言えないけれど。でも、私からしたらここにいた方が都合がいいのは確かだ。死なないでくださいね、と秀一さんに言えばフッと笑って頭を撫でられる。

「コレを使え。そこに工具が入っている。解体は任せたぞ」

秀一さんが自信のライフルバッグを蹴って、ライフルバッグはコナン君の近くで止まる。コナン君はライフルバッグから工具を取り出しながら、赤井さんは、と今からのことを尋ねた。

「爆弾があったということは、奴らは必ずこの観覧車で仕掛けてくる。そして、ここにある爆弾の被害に遭わず、キュラソーの奪還が出来る唯一のルートは…」
「空から…!」
「俺は元の場所に戻り、時間を稼ぐ。何としてでも、爆弾を解除してくれ」
「簡単に言ってくれる…」

走り去っていく秀一さんを見ながら、安室さんが言った。コナン君が手にとっていた工具を安室さんに渡して、消火栓の中にある起爆装置を見る。

「呉羽さんは、FBIのところに行かないんですか?」
「ここにいろ、とのことです。爆弾さえ爆発しなければ安全だから、と」
「やはり、随分と大事にされているようですね」

安室さんが口角を上げながら手を動かす。その瞬間、コナン君が階段に向かって走りだす。

「どうした!?コナン君!」
「ノックリストを守らないと!」

そう言いながら、コナン君は振り返りもせずに階段を降りていく。呆れるように、安室さんが口を開く。

「ったく、どいうもこいつも…」
「これってもし爆弾が爆発したら私安室さんと死ぬことになるんですかね…」
「それもいいな。赤井がどんな顔をするか見てみたいものだ」

あぁ、やっぱりそういうことなのか、と息を吐く。観覧車の上で私をわざわざ人質にした理由。今までの安室さんの言葉で、なんとなく察せてしまった。全てが終わったら、確認はしたいけれど。

「そんなに、秀一さんが嫌いですか?」
「……なぜ、そんなことを?」
「なんとなく、ですかね。別に深い意味はありませんよ」

安室さんの隣に座って、彼の解体作業を見守る。今ここであの人のことを訊くのはいくらなんでも駄目だろう。安室さんが秀一さんを恨む理由となった、彼のこと。私は会ったことがないけれど、出来ることならば会ってみたかった。

爆弾を器用に解体していく安室さんを見て、小さく息を吐いた。

2016.
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