高校はボーダーで知っている先輩が多い事を理由に普通校へ進学。なんと影浦くんと同じクラスになったのだ。
柚宇ちゃん倫ちゃんと離れてしまったこともあり、落ち込んでいた私は思わぬクラスメートに喜びすぎて、視線が刺さったであろう影浦くんにとても嫌そうな顔をされてしまった。

そうして始まった高校生活は、ボーダーの防衛任務が度々入ることも相まって、女の子特有のグループというやつに入れなかったイレギュラーな人間になってしまった。
とはいえ、お昼を一緒に食べてくれる子も、防衛任務の間ノートをとっといてくれる子もいるし、特別困るようなことは無かった。
只ひとつ、気になることといえば、

「あ、影浦くん今日防衛任務一緒だよね、よろしく!」
「おー。」

影浦くんと私が話すたび、クラスメートの視線が集まるのだ。
そんなに見たら影浦くんに刺さっちゃうんだけどなあと思いつつも、彼のサイドエフェクトを勝手に言いふらすのはどうかと思うし、口に出されていない以上注意もできない。
教室を出た影浦くんについて私も本部に向かうため歩き出した。

「影浦くん、大丈夫?」
「…気にしてたらキリねーだろ。つかお前いい加減それやめろ。」
「え、ごめん私が刺してた!?」
「ちげーよ、…その呼び方、いつまで他人行儀なんだよ。」

カゲでいい、とマスクを上まで引き上げた影浦くんに思わず嬉しくなり、にやけた顔を隠すよう手で口元を覆った。

「おい、今度は刺さってるぞ。ヤメロ。」
「無理!ちょっと我慢して、…カゲ!」

呆れたようにため息をついて、それでも満更じゃなさそうにするカゲに、また一歩近づけた気がした。



◆ ◇ ◆



さて、余談だが、この頃私はフリーのB級から新しく隊を作るのだと声をかけられ、B級チームの一員としてデビューをした。

『太陽、悪い見つかった。テレポートしてくれ。』
「芳乃了解。」

地面に手をつき現れた自隊のエンブレムが光れば、次の瞬間には自隊の隊長の背中と対峙するモールモッドが現れ、即座にトリオン供給器官を撃ち抜いた。
後ろから来たモールモッドは、我らがスナイパー様がしっかりと撃ち抜いていた。

「一人でも切り抜けられるじゃないですか、冬島さん。」
「後輩育成のためだよ、よくやったなー太陽。」
『おいおい隊長ー、俺もちゃんと守ってやったんだけどー。』
「わかってるよ、ご苦労さん当真。」

わしゃわしゃと撫で回され、髪がボサボサになってしまったけど悪い気はしない。
隊にさそってくれた真木ちゃんと当真くんには感謝だ。ランク戦に参加できたり、防衛任務に隊で向かったり、皆であーだこーだ言いながら作戦を考えたり、楽しいことが増えた気がする。

「太陽って響きいいよな、明るい感じっつーの?」
「うーん、女の子っぽくないからあんまり好きじゃないの。でも、友達から名前で呼ばれるのはちょっと嬉しいかな。
ほら、下の名前で呼んでもらえると、なんだか特別な感じがするでしょ?
だから冬島さんに太陽って呼んでもらえたとき、すごく嬉しかったもの。」
「ほう、なるほどなぁ。」

そういってニヤリと不適に笑った当真くんは、私の頭を冬島さんみたいにわしゃわしゃと撫でた。

「んじゃあ俺も太陽ってよぶわ。」
「…ねえ、冬島さんといい当真くんといい、私の頭ってそんなに撫でやすいの?」
「んー、甘やかしたくなんのかねえ。お前変なとこでくそ真面目だってカゲも言ってたし。」
「え、当真くんいつカゲと仲良くなったの!?」
「俺ゾエと同じクラスだから、隊組む前にランク戦ブースでゾエに紹介してもらったんだよ。」
「私は1ヶ月以上かかったのに…!」

何が?と首をかしげた当真くんに、カゲって呼べるようになるまで!と詰め寄った。

「なんだよ、呼び方ぐらい気にすんなって。太陽とカゲのが仲いいだろ?
俺と真木はあいつにお前の事進められたんだぜ?」
「え?」
「真木が俺を誘ってすぐ、冬島さんを引っ張り出すのは決まってっけどもう一人メンバーが欲しいってなってな。どうしたもんかって唸ってたら、ちょうど近くにいたカゲが言ったんだよ。」

『太陽は?』
『太陽って…ああ、芳乃さんか。』
『…太陽なら、銃撃手だが攻撃手の間合いも攻められる。お前ら近距離の隊員探してんだろ。』

あいつに訪ねて見ろよ。ってさ。当真くんはそう言って、自販機から出てきた缶コーヒーに口をつけた。

「え…カゲが言ったの…?」
「おう。さっきも言ったけど、勧誘するなら太陽はくそ真面目だから気張りすぎて無理しねえように見とけってさ。」
「…わ…うわあぁ…!」

は、恥ずかしい!みるみるうちに顔が熱くなっていく。きっと今の私はトマトのように真っ赤な顔だ。心臓の音が外まで聞こえそうなぐらい鳴ってる。
カゲが見ていてくれたことも、名前で呼んでくれていたのも。

「う…嬉しい…!」
「おい、ゆでダコみてえになってんぜ。」

どんだけ嬉しいんだよと笑う当真くんに、このあと延々と感動を語ってしまったのはご愛嬌だ。

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