1つの忠告 2つの言葉

『個性把握テスト、かぁ』

ヒーローになるためにはガイダンスも入学式もないみたいだ。少し残念かも楽しみにしてたから。
その代わりに待っていたのは個性把握テスト。個性使用可能なスポーツテストみたいなものらしいけど私の個性は生かせそうにない。やばいぞ初日から除籍をくらっちゃうかもしれない。

朝飯田くんと言い争っていたヤンキーくんは爆豪くんというみたいだ。爆発性の個性的なのかな、ボール投げで掛け声が死ねってなかなかヒーローらしくないけど。それでも記録はすばぬけているし圧倒的だった。

そんな爆豪くんに刺激されたのか他の子達も個性をうまく使って記録を叩き出していた。
うーん、これはまずいぞ私。











結果はボロボロ。少し申し訳ないけど緑谷くんっていう子には勝てる気がしていたけど最後の最後にボール投げで差をつけられた。

「鈴木さん、ですよね?」

『え、うん。えーっと』

「八百万百ですわ。」

除籍処分という言葉が頭をグルグルと周り初めていたときに話しかけてきたのはポニーテールの綺麗な女の子だった。

「気を落とさないでください。私の考えだと除籍処分というのは脅しかと。」

『ありがとう百ちゃん。そうならいいんだけどあの先生本気でやりそうだもん』

「大丈夫です。明るくいきましょう。」

なにこの子とても良い子。気持ちが少し晴れたよ。







百ちゃんの言う通り除籍処分というのは生徒の本気を見るための嘘だった。多分クラスで一番胸を撫で下ろしたの私だよ。百ちゃんは隣でガッツポーズをしてくれた。
ゾロゾロとみんなが帰るなか、私は百ちゃんと歩いていた。

『百ちゃんの言う通りだったね、本当に良かった〜』

「たまたまですわ。こればっかりは個性の向き不向きはありますからね」

『うん、私の場合使いようがないからな〜』

「そんなにお変わりな個性でして?」

『うーん、右手が攻撃系ではないんだよね。』



「その事についてだが鈴木。話がある」
『うお!!!!!』

いつの間に後ろにいたの相澤先生。思わず女子の欠片もない汚い声あげちゃったじゃん。

「では、私は先に行きますね」

百ちゃんは空気を読んだみたいでサカサカと前をいってしまった。もうちょっとだけ話したかったんだけどな。それに先生の話したいことって言うのは心当たりあるし聞きたくなかったりする。








「お前、左手の個性使えばさっきのテスト10位以内には入れただろ」

まっすぐに聞いてくる相澤先生の目から視線をそらす。
相澤先生が言いたい事は大体把握していたけど言葉に出されると少し俯いてしまう。


『左手は、使いません。』

「ヒーロー科にはいった以上、それはきついと思うがな。置いてかれるぞお前」

『、コントロールがきかなかったら死人でますよ。怖くてつかえません。』

「ヒーロー科はもちろんヒーローになるために力を伸ばす訓練をする。それと同時にコントロール能力も向上させる。あと俺の個性を忘れるな。」


相澤先生は言いたいことだけ言って行ってしまった。嫌なところ突いてくる先生だな、私がわざと左手使わなかったの気づいてるし。

左手なんか使ったら、みんなに嫌われる。というか、みんな私に近づかなくなる事だってありえる。入学当初でそれはきっついし。でもあの先生のことだからきっと次は何がなんでも使わせるつもりだろう。


『ん〜むっずかしいなぁ』

思わず呟いて空を見上げるとオレンジ一色に染まっていた。
あっという間にヒーロー科としての一日目が終わろうとしている。