切島くんは気になる

教室にあるバッグを取って帰ろうと思い、A組の大きなドアを開けるとまだクラスにはパラパラ人が残っていた。

自分の机の上のプリントを整頓する。文房具とか忘れないようにしなきゃ。えーっと今日は特に持ち帰るもの…


「なぁ!!お前結田付中だよな?」

『え』

いつの間に目の前にいたんだろう全然気づかなかった。あ、このツンツンした赤毛は人のことガン見してきた子じゃん。

「あれ、そうだと思ったんだけど」

『合ってるよ。結田付中出身』

「だよな!俺もそこの中学校からなんだよ!」

『ほんと?えーっと名前は』

「切島鋭児朗!切島とか、えいじろーとかでいーぜ!」

『切島ね、よろしく。あおいでいいよ』

なんだ、この子めっちゃいい人だ。絡まれたらとか無視して罪悪感かも。同じ中学出身同士話したかっただけだよね、うんうん。同じ中学出身同士…、え







「そーいやよ、あおい何でさっき左手の個性使わなかったん?」

最も恐れていたことが目の前で起きてる。同じ中学出身イコール私の左手の個性を知ってるってことだよね。背中にじわじわ汗が浮かぶのがわかる。。

『あーーーーーーっと不調なんだよね』

「え、俺鈴木が最下位だったのって個性が不向きだと思ってた」

「鈴木さん、左手も個性がありますの?」

切島の一言を聞いた数人が興味ありげに私の席に集まってくる。百ちゃんなんて目キラキラさせてる。

『まぁ、いつか、ね。授業で見せる時が来るよ、うん。』

「すごいんだぜ、こいつの個性!」

『き、切島!ちょーっといいかな』

思いっきりどもったけどここは退散する方が善とみた。ついでに切島の腕を引っ張って教室の外につれていく。








『あんね、私左手の個性のことあまりおおっぴらにしたくないっていうか使いたくないんだ。』

首を傾げる切島には回りくどい言い方よりストレートに伝えた方が良いみたいだ。

「そうなのか?」

『切島、結田付中なら私の噂聞いたことあるよね?1つくらい』

「まぁ、少しは。でも全然イメージより話しやすいしさ噂は噂だろ。」

『ありがとう。でもまだみんなには噂みたいなこと知られたくないんだ。』

「そうなのか、悪ィ何も知らなくて」

『んーん、ただこれはしばらくは切島くんと私の秘密にしておいてほしいんだ』

「おう。俺は約束は守る男だ。」

『良かった。じゃあ引っ張りだしてごめんね。私帰るからまた明日』

「おう、じゃあな!!」


良かった、切島がいい人で。
ここは切島のことを信じて家に帰ろう。








「俺はお前の個性かっこいーから好きだけどな」

私の後ろ姿を見てそう呟いた切島をこのときの私はまだ知らない。