「おはよー!鈴木」
『切島おはよ〜』
朝ノロノロと校門を歩いていると後ろから肩をバンっと叩かれて振り向くと切島がにこにこしていた。少し痛かったけど笑顔が素敵だから許す。
「今日は普通に座学あるんだってな」
『そうなんだ、案外普通だね』
「な。もっと専門的な事してくのかと思った。」
『科目も英語とかだし特殊ではないね』
切島は会話が終わっても横を歩いていた。これは一緒に教室までいっていいのかな、多分。
切島は同じ中学なら私の話耳に挟むくらいはしたはずなのに変わらず接してくれている。中学の人なんかあからさまに近づいてこないし腫れ物みたいに扱ってきたのに切島くんは全然そんな素振りも見せない。気にしないタイプかのかな。昨日みんなの前で左手の個性バラされそうになった時は焦ったけど悪意があった訳じゃないし。
「そーいや、上鳴って知ってる?」
『電気の子?ちょっとおチャラい』
「おチャラいて。そうそう、そいつが鈴木と話してみたいって騒いでたよ」
『おチャラいじゃん』
上鳴くんって確かクラスの女子ナンパしまくってた子だよね、顔はイマドキな顔だった気がするけどあんまり覚えてないや。
「なんか雰囲気が違うから話しかけにくいんだってよ」
『えっ、私感じ悪いかな』
「いや、大人っぽいって意味じゃねーかな。麗日とかとはまた違った感じじゃん、鈴木って」
確かに昨日少し話したけどお茶子ちゃん話しかけやすかったし明るかった。
私、話しかけにくいのかな。あれ飯田くんは普通に話しかけてくれたけどあれは飯田くんだからか。
「まぁ、実際話すと全然話しやすいけどな」
『そうかな、自分じゃわかんない』
「冷たそうだけどいい意味でサバサバしてるし。あとなんかおもしれー」
『最後褒めてるんだよね、切島的には』
「おう!」
切島の方が話しやすいけどな、全然気使ってこないからこっちも大分楽だし。あと名字を呼び捨てしても全然最初から違和感がないしなんとなく馬が合うのかもしれない。
切島の言ってた専門的な事ばかりするイメージのあった雄英のヒーロー科は普通に座学もする。英語の時間はマイク先生が担当していた。あれ、確かこの先生って入試の時にど滑りしていた先生だった気がする。
マイク先生の英語の授業は先生一人でずっと盛り上がっていた。そして声がとにかく大きくてウトウトもできなかった。
そしてしばらく板書をとっている今、私は視線を感じていた。めっちゃ見られてる気がするんだけど何なんだろう、なにか聞きたいのかな。
チラと視線の方を見ると隣の男の子がこっちをガン見していた。名前わからないけど苗字が一文字で昨日の個性把握テストで氷使っていた子だ。威力がすごかったから印象的で覚えている。
ガン見をやめることなく私の事を見続けてくるけど、いやどうしたんだろう。そんなに見られたら毛穴とか見えちゃうよ。
『な、なんかあった?』
耐え切れずに聞いたのは私の方だった。2人で授業中、しかも話したことない子とこんなに見つめ合うのシュールすぎる
「あ、悪ぃ。なんでもねぇ」
『え』
パッと男の子は前を向き直した。え、そこまで見といて何もないってどういうこと。
「じゃーあ、クールボーイ!轟 焦凍!ここの答えは何だろかわかるかーい!」
直後に隣の男の子がマイク先生に指される。聞いてなかったんじゃないの、今の問題、
「3番」
「コングラッチュレーションっ!ブラボーっ!」
いきなり指されたにも関わらず正解した男の子はとどろきくん、と言うらしい。授業聞いてなくても正解するって頭いいんだろうなぁ。じゃなくてさっきのガン見はなんだったんだろう。
口の周りに何かついてたかなとこすっても何もないし前髪に何も付いている訳じゃないし何なんだろう。
結局、私は授業に集中出来ることはなく、だけど隣の男の子がこっちをガン見してくる事はもうなかった。