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「脱狼薬を知っておるかね?」

「はい、しかしあれはまだ研究段階で......」

「この十年ほどで大きく進んでおる。まだ完全ではないようじゃが、人狼が服薬しても問題なく、変身時の苦しみを少なくする効果が随分高い。ーー現在の魔法薬学の教授が優秀でな。彼の昔所属しておった研究所とも連絡をとっておる」

明るいが有無を言わせない口調に、思わず頷いてしまった。


教授になることについては考えておくように、脱狼薬のことなどを話すためにとりあえず明日ホグワーツに来るようにと言い置いて、ダンブルドアは帰っていった。
考えておくようにと言っても、既にそれはほぼ決定していると言っていいだろう。ダンブルドアの眼鏡の奥からのぞくブルーには、なにか抗いがたい力があるーー私が十一歳の頃から。


「......ルーピン」

ホグワーツ、校長室。
ドアを開けた私の視線の先にいる男は、口を薄く開いて渋々と言ったように声を発した。非常に不機嫌そうである。
対照的にダンブルドアはいつも以上に輝かんばかりの笑顔だ。私たちの、かつての同級生たちの再会に立ち会えたことを心の底から喜んでいるという風だ。
私はただただ驚いていたーーセブルス・スネイプが魔法薬学の教授だったのか!

「久しぶりだね。君が煎じてくれるなら安心だ、本当に......」

私はにこやかに振る舞うようにつとめた。あのころ彼と私たち(主にそのうちのふたり)はお世辞にも友好的とは言えなかったけれど、彼は、私にとって重要な人物だ。もちろん脱狼薬について。そして、あのころ関係のあった同級生の中で、私が会うことのできるたったひとりの人物なのだ。
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