…だ、だれでしょうか?

殺せんせーに指定された席に着くと、少しの休憩時間に入った。
休み時間だというのに静かな教室。
集まる視線に私が原因なのだと察する。

…ここでもダメなのでしょうか。
殺せんせーに誘われてやって来たE組。
クラスの雰囲気を悪くしてしまったのかなと少しだけ気落ちしてしまう。

すると、前に座っていた女の子が突然くるりとこちらを向いた。
少し勢いのある振り返り方にびっくりしてしまう。
目をぱちくりしていると、その女の子は少し大きな声で私に話しかけてくれた。


「あ、あの…!奥田愛美って言います!」

「!」


声をかけてくれた女の子、奥田さんは「よろしくお願いします…!」と少しだけ上ずった声で自己紹介をしてくれた。

話しかけてくれた…!
それが嬉しくて、自然と笑みが零れてしまう。


「こちらこそ、よろしくお願いしますね」


そう返せば、奥田さんも嬉しそうに笑ってくれた。
…嬉しい。

そんなことを思っていると、奥田さんは何かを思い出したように話題を変えた。
内容は今日の授業について、どこまで授業が進んでいるのかを丁寧に説明してくれた。
どこまでも優しい彼女に心が温まるのを感じながら彼女の説明を聞いていると、殺せんせーが教室に戻って来た。
教壇に立った殺せんせーは「それでは数学の授業を始めます」と一言告げた。


「…がこうなるというわけです」


1時間目の授業が始まってから、それなりに時間が経った頃。
ノートを取りながら、思う。
殺せんせーの授業はとてもわかりやすい。
自分本位ではなくて、生徒を思って教えてくれているのが伝わる、とても温かい授業。
…この教室は、とても温かい。

殺せんせーにしても、奥田さんにしても。
きっと、ここで授業をしているE組のみなさんもお二人のよう温かい人達なのだろうと思った。

これからの学校生活を思って、少しだけ笑みが零れる。
それを慌てて抑えて、前を向く。
授業に集中しないと…!
そう思って、黒板に書かれた文字をノートに書き留めようとした時、後ろの引き戸が開く音がした。

…?
不思議に思って、音のした方を向けば赤い髪が特徴的な男の子が立っていた。


「…あれ、浅野さんじゃん」


そう名前を呼ばれて、きょとんとしてしまう。
え…だ、だれでしょうか?

急いで記憶を辿ってみる。
赤髪で、男の子で、E組で…。
…わ、私、E組の子、あまり知らない…。
その事実に辿りつき、少し慌ててしまう。
すると、殺せんせーが「カルマ君…!」と名前を呼んだ。

カルマくん…?
その名前は聞き覚えがある気がします。
カルマくん…カルマくん……。
え…と、あ!


「赤羽業くん…?」


「なんでフルネーム?」と少し可笑しそうに笑う赤羽くんに、心の中で言ったつもりが声に出ていたことを知る。

え…!ど、どこから声に出てたんでしょう…?



*

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CrystalpalacE