私だけじゃないはず。

社会の時間も終わり、机を元に戻す。

結局、社会の時間が終わるまでクロスワードを解いていた。
「できた班から休み時間に入ってもいいですよ」と言ってたわりに、完成させて持って行ったら2枚目のプリントを渡された。
「あと3枚はあるので頑張ってください」と言う殺せんせーに、先に言えよと思ったのはきっと私だけじゃない。

そんなことを思い出しながら、体育着を取りだす。
本来なら次は自立の授業だけど、今日のみ体育と入れ替わったことを前日に烏間先生から伝えられていた。
その時に新しくE組へやって来る子がいることも伝えられたので、新しくここへ来る子にナイフや銃の扱い方をできるだけ早く教えたいという烏間先生の要望だと思う。


「次、体育だけど」


更衣室として使ってる空き教室があることを優良に伝えれば、ご一緒しても良いかと聞いてきた。
それに頷けば、優良は嬉しそうに笑った。

奥田と優良と一緒に教室を出ようとすると、矢田と倉橋が話しかけてきた。


「私達も一緒に行って良いかな?」


私にしては珍しく、大所帯で更衣室までの道のりを歩く。
矢田や倉橋が優良に話しかけて、挨拶して、自己紹介していたら、あっという間に着いた。
…まあ、そんなに遠い道のりじゃないしね。

更衣室の引き戸をノックすると中から返事があった。
既に何人か来ていたようで、扉を開けることを伝えてから更衣室の中に入った。


「みんな、好きな所を自由に使ってるんだよ〜」


倉橋が優良にそう説明している。
…二人ともふわふわしてる所があるからか、周りにお花が飛んでるように見えた。
それを眺めつつ、着替えを始める。


「「「「「…」」」」」

「い、意外と巨乳だ…」


茅野の呟きに苦笑いする片岡とニヤニヤしてる中村が視界に映る。
皆の視線は私の隣で奥田と楽しそうに会話をする優良に向いていた。
視線を集めている本人はそんなことに気づく様子もなく、Yシャツのボタンを外している。


(…確かに)


矢田ほどではないけれど、優良もそれなりに豊満な胸の持ち主のようだ。
ブレザーを着ていた時はあまり視線が行かなかったけど、Yシャツになると体のラインがはっきりと見えるからか思わず胸に目が行ってしまう。


「優良ちゃんは着やせするタイプだねぇ」

「…!」


そんな優良に絡んでいったのは、やっぱりというか…中村だった。
中村の言葉に優良は「ふ、太って見えますか…?」と恥ずかしそうにブレザーを胸元で抱きしめた。
…そういう意味じゃないと思うけど。


「違う違う。良いスタイルだねぇって意味」

「…!!」


中村の特に胸がという、ストレートなセクハラ発言に吃驚して固まる優良。
みるみる顔が真っ赤になっていくのが分かる。
真っ赤になりながらも、どう返したら良いのかと真面目に悩んでいる様子。
…そこはスルーして良いと思う。


「ほら、中村さん」


既に着替え終わった片岡が中村の背中を押しながら「もう着替え終わったなら外に行くよ」と声をかけた。
片岡の助け舟にほっとした表情をする優良。


「先に行ってるね、優良ちゃん」

「!」


そう言って更衣室から出て行った片岡達を優良は嬉しそうに見送っていた。

…思わず頭を撫でたくなったのは私だけじゃないはず。



*

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