見栄っ張りだからなぁ…。

本日最後の授業、英語の時間。
ビッチ先生の授業だ。
色々と卑猥であるこの授業に、新しくやって来た優良ちゃんは置いていかれないだろうか。

そんな心配をしていると、ビッチ先生が教室へやって来た。
教室に入るとそのまま優良ちゃんの所まで颯爽と歩いていくビッチ先生。
その姿は、いつもと違って、なんか、カッコ良く見える。


「貴女が浅野優良さんね」


その姿を見て、クラスの大半は思ったに違いない。


(((((なんか、カッコつけてる…)))))


ビッチ先生、見栄っ張りだからなぁ…。
新しくやって来たと言っても、これからこのクラスの一員になる優良ちゃんに見栄張っても仕方がないと思うんだけど。
思わず苦笑いしてしまう。

そんなクラスメイト達の心のツッコみも知らず、ビッチ先生は「初めまして、英語教師のイリーナ・イェラビッチよ」と自己紹介をするのだった。
普段よりカッコつけてるビッチ先生だけど、このクラスに来たばかりの優良ちゃんがそんなことを知るわけもなく。
彼女は椅子から立ち上がるとぺこりとお辞儀をした。


「浅野優良です。その…よろしくお願いします、イリーナ先生」

「…!!」


…あー、なるほど。
イリーナ先生と呼ばれて凄く嬉しそうにしているビッチ先生を見て、理解した。
初対面だからこそ、普通に呼んでくれることを期待していたのかと。
そんなビッチ先生の気持ちを理解してか、カルマ君は楽しそうに「イリーナ先生なんて、今更だよ」と優良ちゃんに声をかけていた。

それに続くように前原君が「そうだぜ、優良ちゃん。皆ビッチ先生って呼んでんだから」と言うと、クラスメイト達が楽しそうにビッチ先生と呼んだ。


「びっち先生…?」

「余計なこと言うんじゃないわよ…!!アンタ達!」


あ、いつも通りに戻った。
…というか、このクラスにいたら、いずれは知られる愛称だよね、皆呼んでるし。


「あの…イリーナ先生…?」


声をかけても反応しないビッチ先生に「びっち先生の方が良いのでしょうか…?」と首を傾げた優良ちゃん。
それに「!!いいのよ…!気安くファーストネームで呼んで頂戴」と慌ててビッチ先生は言った。


「!じゃあ…その…よろしくお願いしますね、イリーナ先生」


そう言って、優良ちゃんは嬉しそうに笑った。
ビッチ先生も「ええ、よろしく」と返すと、優良ちゃんの唇にキスをした。


「!!!」

(((((……)))))


…って、キス!?
いつもの光景過ぎて反応が遅れたけど、優良ちゃん、このクラスに来たばかりだから…!!


「…んぅ………ちゅ」

「「「「「……」」」」」


そうツッコみたいけど、声が出なかった。
な、なんか、見てるこっちがドキドキしてしまう感じだ。
じっと見つめるのもどうかと思うけど、視線が逸らせない。
妖艶な二人に釘付けなのは、僕だけじゃないと思う。

固まってるクラスメイト達を余所に、ビッチ先生は優良ちゃんを解放しながら再び「よろしくね、優良」と綺麗な表情で言った。
漸くビッチ先生から解放された優良ちゃんはふらふらふらと地面に座り込んでしまっている。


「…って、何してるんですか、ビッチ先生!!」

「…そ、うですよ!優良ちゃんこのクラスに来たばかりなんですから…!」


はっと我に返った学級委員コンビが慌ててそう言えば「?何よ、ただの挨拶じゃない」と平然と返すビッチ先生。
片岡さん達の声で、固まっていたクラスメイト達が動き出す。


「だ、大丈夫ですか…!?優良ちゃ…!!」


奥田さんが優良ちゃんに駆け寄りながら問いかければ、それにこくりと頷く優良ちゃん。
ほんのり色づいた頬に、潤んだ瞳がひどく扇情的で、思わず目を逸らした。
逸らした先に、同じように目線を逸らしたクラスメイト達を捉えて、自分だけじゃないことに少し安堵した。
黙り込んでしまった男子勢の代わりに、女子達がビッチ先生に意見しているのが聞こえる。


「…そりゃあ、ビッチ先生的には挨拶でもさぁ」

「…優良ちゃんからしたら完全にセクハラだよ、ビッチ先生」

「理事長に訴えられても知らないからね…」

「!!何よ!アンタ達にもやってることじゃない…!」


「私達、ビッチ先生がビッチだって知ってるし」とか「優良ちゃん知らないし」とか口々に言う女子達にビッチ先生は「うるさいわね!さっさと授業を始めるわよ…!!」と声を荒げた。

その後も、懲りずにディープキスの刑やらいつも通りの卑猥な授業をするビッチ先生に優良ちゃんは赤面して固まるのだった。

ちょ…ビッチ先生、優良ちゃんが吃驚して固まってるから…!



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