その頃のA組。
朝のHR。
浅野君、綾瀬君、と名前が呼ばれて、返事をしながら首を傾げた。
(なんで優良ちゃんの名前飛ばされてんの?)
クラスメイト達も思ったのか、クラスが少しざわついた。
…何か遅れる用事でもあるのだろうか。
学秀君曰く、職員室に用があると言っていたらしいし。
…だとしても、HRが始まっても戻ってこないのは可笑しいよな。
体調が悪くて医務室で休んでいるのかとも思ったが、そもそも学秀君が優良ちゃんの体調不良に気づかないわけがないし。
体調の悪い優良ちゃんが学校に来るわけもない。
斜め前にある優良ちゃんの席をぼんやりと眺めながらそんなことを考えていると、最後の一人も名前が呼ばれた。
出欠確認を終えると、宍戸先生は「浅野さんのことですが…」と言葉を一度切った。
「暫くの間、E組に移ることになりました」
……は?
何でE組?
思わずぽかんとしてしまう。
そう思ったのは俺だけじゃないみたいで、クラスメイト達もぽかんとしていた。
なんでも「少し厳しくしようと思いまして」と理事長先生に言われたらしい。
それを聞いたクラスメイト達は納得したのか「可愛い子には旅をさせよということですね」と頷いた。
その言葉に宍戸先生も頷く。
…待て待て。
あの親バカ過保護な理事長先生が、愛して止まない娘を旅に出すわけがないだろ…!
それに、そんなこと学秀君が認めるわけな…。
まるで思考を遮るように、バキッと何とも物騒な音を立てて何かが壊れた。
何が壊れたかは分からないが、少なくともその音を立てた人物は分かる。
俺の目の前に座っている学秀君だろう。
学秀君の禍々しいオーラを見て、ぎょっとするクラスメイト達。
てっきり学秀君も了承しているものだと思っていたのか。
…そんなわけないだろ。
コイツがどれだけシスコンか、お前らも知ってるだろ。
優良ちゃんって下の名前呼んだだけで、睨まれる始末だぞ。
それに学秀君と優良ちゃん、中学ではクラス離れたことないから知らないだろうけど、これ、離すと学秀君のシスコン度数が一気に跳ね上がるからな。
軽くシスコンの域超えるからな。
…いや、それはもともとか。
思わず、これからの学校生活を思って溜め息が零れた。
…荒れるな、きっと、いろいろと。
HRが終わると同時に教室を足早に出て行った学秀君の後ろ姿をぼんやりと見送った。
あれ、絶対理事長先生の所に行ったな…。
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CrystalpalacE