どういうことだ。
朝のHRで突然告げられた"優良のE組行き"。
その理由が「少し厳しくしようと思いまして」と理事長が言ったから。
朝のHRが終わってすぐに教室を出る。
向かう場所は理事長室。
スマホを取り出して、優良にどういうことかとメッセージを送りながらも、歩みは止めない。
確かに、優良の様子に違和感はあった。
昨日は少しそわそわしているような、うきうきしているような様子だったし。
その前は考え事でもしているような、少しぼーっとした様子だった。
だからといって、優良のあの様子からE組へ行くことが理由だと想像できるわけがない。
大体、あの劣悪な環境へ行くことになったのにうきうきしてるってどういう心境だ。
(…優良がE組へ行くことを望んだからか)
そうでなければ、うきうきしていた理由が見当たらない。
だとしても、何故E組なんかに行きたがる?
何かあるのか?
あれこれ思考を巡らせていたら、あっという間に理事長室へ辿り着いた。
一応ノックはしたが、返事は待たずに扉を開ける。
中に入れば、やはり来たかという表情をしたこの部屋の主。
挨拶も無しに、優良がE組へ行った理由を問い詰めた。
「…担任の教師から話があっただろう」
「…まさか"少し厳しくしようと思いまして"のことですか」
そんな理由で貴方が優良をE組へ行かせるわけがない。
「どう考えても嘘ですよね?」と睨みつければ、わざとらしく溜め息をつかれた。
「優良がどうしてもと言うからね」
「許可しただけだ」と言葉を続ける父さんに、やはりそうかと思った。
この人も僕と同じで優良には甘い。
ただ、気がかりなことが一つある。
「…優良から聞いていません」
E組に行きたいと思っていたことも、父さんにお願いしていたことも。
僕に一言もなかったことに納得がいかない。
「優良が君に何でも話すと思っているのかい?」
「…」
鼻で笑う父さんに思わずむっとしてしまう。
はっきり言って、父さんより優良と親密である自信はある。
父さんに話せて、僕に話せないことがあるとすれば、父さんが口止めしているからに違いない。
「話が済んだのなら早く教室へ戻りなさい、浅野君」
「もうすぐ授業が始まる時間だ」と言われて、仕方なく引き下がる。
とりあえず、優良がE組へ行った理由の中に僕に知られては困る内容が含まれていることだけは分かった。
「…失礼しました、理事長」
理事長室を出て、スマホを確認する。
――――――――――
「今日の夕ご飯はオムライスに
しようと思うの(。・_・。)」16:59
既読「いいんじゃないか(*^^*)」
「大変…!!
卵がないよ(>_<)」17:44
既読「なら、買ってから帰るよ(^^)」
「ありがとう(*^ ^*)*」17:50
【 5/♪♪(木) 】
08:43「どういうことだ、優良」
――――――――――
既読の文字が入っていないところを見ると、優良はこのメッセージを読んでいないのだろう。
休み時間ももうすぐ終わる。
聞きたいことを文字にしている時間はなさそうだ。
仕方なく、読んだら電話をするようにとだけメッセージを追加して足早に教室へ戻った。
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CrystalpalacE