解決はしないのだが。

いつもより帰宅が遅くなってしまった。
何事もなければ、優良はすでに眠っているであろう時間。

玄関から家の中へと入り、そのまま優良の部屋へと向かう。
E組の件や学秀の件は大丈夫だっただろうか…。

ドアの隙間から光が漏れていない所を見ると、優良は眠っているようだ。
何事もなかったようで、少しだけ安堵する。
部屋のドアを静かに開けて部屋の中へと入れば、少しの違和感を覚える。
ゆっくりと優良が眠っているであろうベッドへ近づいて、それが確かなものへと変わった。


(…)


何となく気づいてはいたが、やはりそこに優良の姿はなかった。


「…またか」


呟きと共に、ため息が漏れる。
ここにいないのならば、他に思い当たる場所はあそこしかない。
優良の部屋を後にし、優良がいるであろう部屋へと向かった。

昔から、優良は学秀と眠ることが多かった。
それこそ毎日。
一緒だと安心するとか、ほっとするとか幸せそうに笑うものだから「やめなさい」とは言えず、優良の前では仕方なく認めたのだ。

中学に上がってからは頻度こそ減ったものの、何かある度に…いや、何も無くても、学秀の部屋で眠っていることがある。
そんな優良を部屋に戻すのは既に日課に近かった。


(ここ最近は一人で寝ていたものだから、落ち着いたと思っていたのだが…)


足音は立てず、それでも足早に学秀の部屋へと辿り着く。
学秀の部屋も優良の部屋同様に照明は消えているようだ。
ノックはせず、静かに部屋の中へと入れば、予想通り優良の姿が確認できた。

ベッドへ近づき、いつもより学秀に引っ付いて眠る優良の頭を数度撫でる。
それから、優良を起こさないよう注意を払って学秀から引き剥がす。

優良を抱き上げた所で学秀が目を覚ました。
いつものように無言で睨み付けてくる彼に「いい加減一人で寝たらどうだ」と一言告げて、優良と一緒に学秀の部屋を後にした。


(…まあ、学秀に言った所で解決はしないのだが)


すやすやと眠る優良を見て、再びため息が漏れる。
この娘に言わなければ、意味がない。
そうは思っても、言葉にできないのだから仕方がない。

優良の部屋へと戻り、優良をベッドへと寝かせる。
幸せそうに眠る優良の頬に口付けてから、部屋を後にした。

おやすみ、優良。



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