修学旅行か…。

優良と…珍しく帰宅の早かった父さんと食卓を囲む。
いつもより嬉しそうにしている優良に声をかければ、話題は修学旅行になった。


「「修学旅行か…」」


…父さんと声がかぶったけど、今はどうでも良い。
「楽しみだね」と幸せそうに笑って同意を求めてきた優良に何がどう楽しみなのか説明してほしい。
優良がE組へ行ってしまったから、班行動どころかクラス行動も一緒にできないというのに、何をどう楽しめと。

むすっとしていたせいか「おいしくない…?」と不安そうに声をかけてきた優良に「おいしい」と返す。
ご飯じゃなくて、修学旅行の話だ。


「…優良は、どこを回るんだ?」

「!…え…と……、ひみつ」

「…!!」


気になって聞いてみたら少し考える素振りをした後、秘密と返ってきた。
なんだ、秘密って。
秘密にするようなことでもないだろう…!
そんなことを思いながら固まっていると、父さんに鼻で笑われた気がして、優良の視線が逸れた隙に睨み付けた。

食事を終えると優良は部屋へと戻っていった。
おそらく、修学旅行の荷造りだろう。
そう思って、優良の部屋を訪れたのだが…。

ノックをしても返事がないため、勝手に中へと入った。
優良を探して部屋を見渡せば、ソファーに座って何かと睨めっこをしている姿が見えた。


(…本を読んでるのか)


そう思いながら、こっそり近寄って本の中身を覗きこんだ。


(……"班員が拉致られた時の対処法"?)


…なんだ、その本は。
思わず顔を顰めてしまう。
僕の存在に気付いたのか、不思議そうに「どうしたの?」と優良は首を傾げた。


「…その本はなんだ」

「?本じゃなくて、しおりだよ」


修学旅行のと言葉を続けた優良に思わず「しおり…!?」と変な声が出た。
しおりって、もっと薄い感じの簡易な案内書みたいな物を指さなかったか…?
優良の隣に腰かけて、一緒にしおり(仮)を覗くことにした。

確かに手書きの文字やらイラストを見ると、本とは言い難い。
…というか、何ページあるんだ、これは。
近くに"1244ページ詳細"と書いてあるのが見えて「辞書だな…」と呟きが漏れた。

暫く優良と一緒にしおりを見ていたが、明らかに時間の無駄だ。
優良の回る場所を特定できるかとも思ったが、無駄な情報が多すぎてこれは無理だな。
そう判断して、優良の手にあったしおりを閉じた。


「困ったことがあったら、いつでも連絡したらいい」

「…?」


優良の頭を撫でながらそう言葉をかけると、優良は不思議そうに頷いた。

修学旅行か…。



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