…回るコースも完璧だ。
修学旅行当日。
集合場所である新幹線乗り場へ、杉野と一緒にやって来た。
「少し早かったみたいだな」
「遅れるよりはいいんじゃない?」
ちらほらと見える、自分と同じ制服を着た生徒達の中に見知った人達を発見した。
優良ちゃんと奥田さんだ。
二人はベンチに腰かけて、何かを読んでいるようだった。
杉野と一緒に優良ちゃん達の名前を呼びながら近寄れば、二人はこちらに顔を向けた。
お互いに挨拶を交わした後、何を見ているのかと問いかければ、優良ちゃんは膝の上に乗せていた本の表紙を僕達に見せた。
「「…」」
優良ちゃんの見せてくれた本のタイトルには"修学旅行のしおり"と書かれていた。
…というか、この表紙は僕達も見たことがある。
殺せんせーが用意してくれたやつだ。
「それにしては、薄いような…」
表紙に覚えはあったけど、厚みが違う。
僕の鞄に入っているしおりを取り出してみて、優良ちゃんのと比較してみると一目瞭然だった。
「…10分の1くらいか?」
「優良ちゃんのしおり、薄いね…」
そう声をかけると「お父様が、必要最低限にしなさいって…」と事情を説明してくれた。
なんでも、理事長にしおりを渡したら、一晩でこのサイズになっていたらしい。
…あの分厚いしおりを読んで、一晩で取捨したのだろうか。
「すごいな…」
杉野の言葉に苦笑いしつつも頷いた。
うん、なんか…、いろいろすごい。
優良ちゃんの膝の上で再び開かれたしおりを上から覗き込むようにして見てみた。
「「…」」
…あれ?中身、全然違くない?
旅行雑誌顔負けなページに、思わずぽかんとしてしまう。
自分の手元にある分厚いしおりをぱらぱらとめくってみた。
…うん、しおりだ。
タコのイラスト入りの手作り感溢れるしおり。
もう一度優良ちゃんの持ってるしおりを見た。
どう見ても旅行雑誌である。
取捨選択どころか全て切り捨てられてしまった、殺せんせーの手作りしおり。
ぱっと見、残ってるのは表紙くらいみたい。
殺せんせーが知ったら間違いなく落ち込むだろうな…。
苦笑いしていると、優良ちゃんがぺらりとページを捲った。
「…?」
あれ、ここって…。
数ページにわたって、僕達が回る予定の場所の詳細が書かれていることに気が付いた。
(…しかも、回るコースも完璧だ)
ちょっとした見所から殺せんせーを暗殺するのに役立ちそうなことまで達筆な字でコメントされている。
…なんか、さっきから驚いてばかりだ。
ツッコむのに疲れて乾いた笑いを浮かべていると、杉野が「なんで理事長がオレらの回るコース、知ってんだ」と零した。
杉野の言葉に、優良ちゃんは「そういえば…」とつぶやくと、こてんと首を傾げて「どうしてでしょう?」と返してきた。
あ…これは聞かない方が良かったんじゃ…。
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CrystalpalacE