でも楽しいよ。
修学旅行2日目。
今日の予定は班ごとに京都市内を散策。
地図を広げながら、目的地へと歩く。
「それにしても、変な修学旅行になったね」
「そうだね…、でも楽しいよ」
暗殺に適した場所を中心に選んだこともあり、マニアックな所もいくつか回ることになってるけど、そこがまた普通の修学旅行とは違う気がして、わくわくする。
「…あれ、優良ちゃん?」
杉野の「暗殺なんて縁のなさそうな場所」という一言で、寄り道した坂本龍馬暗殺の近江屋の跡地を前にして、さっきまで一緒にいたはずの優良ちゃんがいなくなっていることに気付く。
辺りを見渡してみると、僕達から少し離れた所でスマホを見つめている優良ちゃんを発見し、ほっとした。
「どうかしたの?」
「…あっ」
「?」
近寄って声をかければ、スマホをポケットにしまい、首を横に振る優良ちゃん。
優良ちゃんの様子を不思議に思いながらも、本人がなんでもないと言っているので、とりあえず観光を再開することにした。
「へー、祇園って奥に入ると、こんなに人気がないんだ」
神崎さんオススメの暗殺スポットをみんなで話しながら進む。
「さすが、神崎さん!下調べカンペキ!」と茅野が言ったところで、知らない声が響いた。
「マジ、カンペキ」
「「「「「…!!!」」」」」
「なんでこんな拉致りやすい場所歩くかねぇ」
そう言って突然目の前に現れたのは、学ラン姿の、僕達より一回り大きい人達だった。
(…高校生だ!!)
みんなが一歩引く中、カルマくんだけが前に出て挑発するように口を開く。
「……何、お兄さん等?」
「観光が目的っぽくないんだけど」と言って、相手が仕掛けてくる前に張っ倒した。
ナイフを振りかざす相手にも臆することなく立ち振る舞っていたカルマくんだけど、背後から聞こえた声に意識が逸れた瞬間やられてしまった。
「カルマ君…!」
目の前で高校生達に蹴り飛ばされているカルマくん。
後ろでは、茅野と神崎さんが連れていかれかけている。
「オイ、やめ…っ!」
「杉野!…うあっ」
駄目だ。
とてもじゃないけど、僕達だけじゃ止めようがない。
「やめてください…!!」
「…!!」
殴られる…!
そう思って目を閉じた瞬間、優良ちゃんの声がした。
声の方へと向けば、今にも泣き出しそうな優良ちゃんが映った。
その後ろに―――。
「優良ちゃん…!」
「まだ可愛い子ちゃんが残ってんじゃねぇか」
「…!!?」
「さっさと車出せ」
そう指示を出すと「中坊が、なめてんじゃねぇぞ」と吐き捨てて、優良ちゃんを連れて去っていく。
そこで意識が途切れた。
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CrystalpalacE