購入する。

父さんへのプレゼント選びから可愛らしい雑貨屋巡りに目的が変わってしまってから大分経った頃。
少し休憩するためにベンチに腰かけていると優良が何かを思い出したように声を漏らした。


「まだ、お父様へのプレゼントが決まっていません…」


目的を忘れて遊んでしまったことに落ち込む優良を見て、悪いことをしたと思う。
忘れるように仕向けたのは僕なわけだから…。
俯く優良に何かないかと考えて、やっぱり父さんへのプレゼントを一緒に考える以外になさそうだと判断し、仕方なく真面目に思案する。
………そうだな。


「ネクタイなんてどうだ?」

「ネクタイ…?」


いつもつけてるし、使い勝手も良いだろう。
そう考えて提案してみれば、少しの沈黙の後、嬉しそうに頷いた。
元気になった優良と一緒にネクタイを取り扱っているお店へと向かった。


「…どれが良いでしょうか?」


様々なデザインのネクタイを前に、そう呟きながら優良は首を傾げた。
それから、近くに置いてあったワインレッドカラーのソリッド柄のネクタイを手に取ると、僕の首元に当てた。


「…そのデザインはもう持ってるだろ」

「うん…。でも、この色が合いそうかなって」


そんなやり取りをしていると「お困りですか?」と雰囲気の柔らかい女性販売員が声をかけてきた。
その言葉に、父の日のプレゼントを選びたいことを伝えると、どんなお父様なのか等いくつかの質問をしてきた。
それに優良が答えると「こんな感じのネクタイはどうでしょうか」と数を絞ってくれた。


「わ…、ありがとうございます」


優良はお礼を述べると、販売員が選んできたネクタイの中から一つを手に取った。



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