…本当にいつも通りだった

浅野君と理事長の電話をはらはらしながらみんなで見守る。
浅野君の表情と言葉から、あまりよろしくない状況だということを察していると、当の本人は「いつものことだ」と軽く流した。


「王女の身の安全を第一に、優良の安全も確保しないとどうなるか分かっているな」

「「「…」」」


…本当にいつも通りだった。
どうやら、優良ちゃんも一緒だということが理事長には筒抜けのようだ。
乾いた笑みをこぼしていると《みなさん!烏間先生からメッセージです!》と僕のスマホから声がした。
スマホを確認すれば、敬礼ポーズの律が笑っていた。

そんな律が《浅野理事長から知らせを聞いた…》と送られてきた文面を読み上げていく。
警護の心得と無茶をしないようにと烏間先生らしいメッセージにみんなの士気が上がる中、浅野君だけが訝しげな顔で僕を見ていた。
あ、そうだ、律…。


「今時、しゃべるスマホの一つや二つ珍しくないって。それより、」


「良い考えが浮かんだんだけど」とカルマがさりげなく話題を逸らしてくれた。
その隙に「"王女様が暗殺者に狙われているから、黒幕について探ってほしい"って他のみんなに伝えて」とこっそり律に頼んでおいた。


「できる限り、公共交通機関を使おう」


移動手段も付き添う人も変えながら、歩く時は人通りの多い道を選ぶ。
その方が暗殺する側もやりづらいはずだよねという意見に、みんなが頷く。
中村さんの「だったら、変装させた方がいいんじゃない?」という意見も取り入れて、中村さんと王女様が衣装チェンジをした。

目的地の大使館まで、ここからだとまずはバスに乗って駅へ出ることになる。
王女様と一緒にバスへ乗るメンバーと予定の駅まで先回りして様子を窺うメンバーに分けることになった。
王女様と一緒に行動する方は、王女様と円滑にコミュニケーションがとれることが絶対条件になるわけだけど…。


「オレと浅野クンと中村と優良ちゃ…」

「ちょっと待て、優良を加える気か」


人の話聞いてたのかとか危ないだろとか食ってかかる浅野君に「大丈夫だって」とカルマがのんきに返す。
それに中村さんも「平気だって」とこちらものんきに頷いた。
…まあ、優良ちゃんの身体能力を考えると問題はないとは思うけど…そういう問題ではなさそうだ。
そんな僕の心境をカルマが口にすれば、思った通り、そういう問題じゃないと浅野君が返した。

そんな浅野君に優良ちゃんが「私なら大丈夫だよ」と声をかけていたけど、大丈夫とか大丈夫じゃないとかの問題ではなく心配で気が気じゃないから駄目だということで、僕や磯貝君達と一緒に予定の駅へと先回りすることになった。



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