え、それは大丈夫なのか…?

手筈通りにカルマと寺坂と中村が先に来た電車に乗り、次にやって来た電車に浅野兄と渚と王女様が乗り込んだ。
そして、その前後の車両に吉田と村松、オレと前原と優良ちゃんが乗る形となった。

王女様が乗っている車両を警戒しながら、すぐ降りられるようにドアの付近で固まって立つ。
隣の車両に移る人物にも注意深く意識を向けていると、前原が「そういえば、優良ちゃん」と真剣な表情で口を開いた。


「もうすぐバレンタインじゃん?」


「優良ちゃんは誰かにチョコあげたりすんの?」と言葉を続けた前原に再びため息が出る。
またしても緊張感のかけらもない。
前原の突拍子もない問いかけに優良ちゃんも目を瞬かせるものの、しばらくしてからこくりと頷いた。


「…クラスのみんなにあげたいです」


―――お世話になったから、感謝を込めて。
そんな笑顔を浮かべる優良ちゃんに今度は前原が目を瞬かせた。


「さすがにクラス人数分は大変だろ」

「お父様に手伝ってもらえることになったので大丈夫です!」

「「え…!」」


お父様とお菓子作り…!と嬉しそうに笑う優良ちゃんを他所に、前原と目が合った。
え、それは大丈夫なのか…?

「オレら殺されない?」と前原の無意識に零れた言葉は優良ちゃんに届くことはなく、他にもバレンタインには浅野兄と最近話題のチョコレート専門のお店に行く約束をしたことなどを嬉しそうに話していた。


「おお…、相変わらず仲良いな…」


遠い目をしながら頷く前原に、優良ちゃんは不思議そうに首を傾げた。
もらっても断っても理事長に殺されそうだな…。
そんな会話をしていると、次の停車駅のアナウンスがかかったので、もう一度意識を周りに向けた。



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