犬飼くん。 この世界がワールドトリガーだと気付いてから気になったのは、自分の苗字についてだった。 自分の苗字…、"犬飼"に思い当たることがあったからだ。 (犬飼くんってキャラ、いたよね…) コミュ力の高い、今時の男子高校生みたいな子。 部屋にある姿鏡の前に立ち、自分の顔を見つめる。 ミルクティーカラーの髪色とか、スカイブルーの瞳とか、テレビで見た犬飼くんに似てると言われれば似ている。 …性別が違うけど。 だから最初は、犬飼くんの姉とかなのかなと思ったけれど、生憎私に弟はいない。 既に姉2人がいることを考えると、私自身が犬飼くんなのか、あるいは別の犬飼さんなのか…。 断定できる事実が見つからないまま月日は流れてしまい、私は再び高校生になった。 ◆◆◆◆◆ 高校の入学式当日。 三門市内でも進学校と言われる六頴館高等学校。 そしてこの学校はボーダーと提携している高校の一つだ。 …母には星輪女学院をお勧めされたけれど、もしも本当に犬飼くんだった場合、他所の学校へ行くのはまずい気がして、六頴館を受験した。 そして、その判断は正しかったと知る。 (あ、荒船くんだ…) 名簿を見ながら自分の名前を探していると、見覚えのある名前を発見した。 私の名前の一つ上に書かれた"荒船哲次"の文字に、確信する。 やっぱり私が犬飼くんなんだ…。 でも性別違うし、そんなことに気付かないで自由に生きてきちゃったけど大丈夫かな…!? 良い方に未来が変わるなら良いけれど、悪い方に変わってたらどうしよう…! そんなことをもんもんと考えていると、後ろから「お前、あの時の…」と声をかけられた。 声の方へ振り向けば、なんとそこには荒船くんが…!! 「お前もこの学校だったんだな」 「う、うん…」 ちょっと待って、なんのこと…、というか、こんな出会い方で良いの…!? あれ、どちらかというと再会…? まって、ちょっと整理させて…! そんな私の心の叫びなど知る由もない荒船くんは「よろしく」と言ってきたので、私も咄嗟に「よろしくね」と返した。 ちょっと待って!荒船くんとのセカンド…?コンタクトはこんな感じで良かったのかな…!! というか、ファーストコンタクト覚えてない…!! * [*prev] [next#] [ back ] |