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「イタチ…今日さ、私とんでもないものを見たんだ」
「?…何を見たんだ?」
「カカシ先輩のマスクのした」
「………それは、本当か…?」

興味なさそうに本を読んでいたイタチの手が止まった。驚きの視線がこちらへ向く。

「本当、本当。サスケ達が色々画策しててばっちり見ちゃった。」
「…で、どうだったんだ」

珍しく興味津々といった様子でイタチが少しこちらへやってきた。普段すました顔で任務をこなしている彼もやはり気にはなっていたのかとちょっぴり優越感にひたる。

「噂通りの美形だった」
「は…?」
「だから、男前、イケメンだったの。カカシ先輩」
「……」
「強くてあの格好良さはずるいね…」

確かにあのマスクの下には女の子の間で噂されていた通りの男前な顔があった。7班の皆に奢ってもらったラーメンを食べようとしていたあの姿を思い出しうんうんと頷いていると、目の前のイタチの眉間には少しだけしわがよる。あ、不機嫌になったそう気付いた時にはむにっと頬を抓られた。

「いひゃいひょ、いひゃち」
「……お前な、仮にも彼氏の前で他の男を褒める奴があるか?」
「らって、ひょんとほうの…」

軽くでもやっぱり痛い物は痛くて少しだけ涙が出てきた様な気がしているとぱっと手を離してくれた。そしてその手はそのまま私の頬へ滑る、分かりにくいけれど確かにむすっとしたイタチが何だか可愛くて笑みが自然とこぼれた。

「ほぅ…笑うなんて随分と余裕だな」
「いや、そのね?」

頬を撫でる手に手を重ね、何かを言おうとしたイタチの唇を言葉を発する前に塞いでやった。ちゅっとリップ音を立てた後ぺろりと唇を舐めてやると目の前の彼はすっかり固まってしまっており、そんな姿すら愛おしかった。

「私の中の1番はイタチだから」

…あ、赤くなった。


 


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