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本編最終回のネタバレがあります


「か、かわいい…」

義理の妹となったサクラの腕に抱かれすやすやと眠っているのはサスケとサクラの子供、うちはサラダ、天使の様なその寝顔で今まさに周囲を魅了していた。

「女の子かぁ…サスケ、溺愛してるでしょ?」
「そうなんですよー。もうデレデレで…」
「可愛くて仕方ないってか」

くすくすと談笑に花が咲いた頃、ガラガラと扉を開く音と共に一直線にこちらへ向かい廊下をかける音がした。

「ただいまっ、母さん!あ…サクラおばさんこんにちは」
「相変わらず元気いっぱいねむすこくん」

飛び込む様にやって来た愛息子むすこはサクラを見るとぺこりと頭を下げて挨拶をする。こう言う所はイタチに似たのかも何て考えていると背後から困った様に注意する声が。

「むすこ、いつも廊下は走るなと言って…」
「あ、おかえり。イタチ」
「お、お邪魔してます、義兄さん」

今だにイタチに対して少し緊張しているサクラに笑顔で挨拶をする彼は直ぐに腕の中の存在に気付いた。

「その子がサラダか?」
「え、あ。はいそうです…抱っこしてみます?」
「あぁ」

サクラからイタチの腕に移ったサラダは今も眠ったままでそれを優しい顔で彼は見つめる。

「…実物はやはり可愛いな」
「?イタチ、サラダちゃん見たことあったっけ…?」
「あぁ…サスケに何度か写真を見せられてな」

柔らかそうなその頬に触れながらそう言う彼の表情も気持ち緩んでいる様に見えた。やっぱり姪っ子可愛くて仕方ないって感じかな何て思っていると何時の間にか私からイタチの足元へ移動していむすこがじっとその腕の中を見ている。

「父さん…その子」
「お前も写真を見せてもらっただろう?この子がサラダだ」
「サラダ…ちゃん」

興味津々に見ながら何やらサラダに話しかけているその姿は微笑ましい、それは目の前のサクラも同じ様で顔を見合わせ笑い合う。けれどそんなサクラの視線が私の背後に向くと慌てた様子でいきなりがたりと立ち上がった。

「あー!もうこんな時間、サスケくん帰って来ちゃう」
「!本当だ…何だか引き止めちゃってごめんね?」
「いいえ!義姉さんのせいじゃないですよ」

少し急ぎ足で家を後にするサクラを見送り居間へ戻ると何やら楽しそうに話をしているイタチとむすこの姿がそこにいた。私の姿を見るなり笑顔で勢い良く抱きついて来るので一瞬よろけるもぐっと踏みとどまる。

「母さん、今父さんにも話したんだけどね、僕弟か妹が欲しいんだ!」
「!?」
「だ、そうだぞカズラ」
「ね?父さんはいいぞって言ってくれたよ?」

兄弟が欲しいと言うくだりはまだよしとしよう、だがその後の言葉に思わずイタチの方を向けばにこりと笑顔を浮かべており呆れて言葉が出てこなかった。

「ね、ね?母さん僕修行もお手伝いも頑張るから、…だめ?」
「……っ」
「愛息子の可愛いお願いじゃないか」

な?とむすこの頭を撫でながらそう言うイタチ。確かにもう1人ぐらい欲しいとは以前から思っていたし、サラダを見てからその思いは大きくなっていたけど、と考えている私にイタチそっと耳打ちしてきた。

「今夜あたりしけ込むか…」
「……イタチって最近おじさんっぽくなったね」
「なっ…!!?」

あからさまにショックを受けた顔をしたイタチを笑いながら私は足元できょとんとしている息子の頭を撫でた。くすぐったそうにしながら見上げてくるその視線に合わせるようにしゃがみ込む。

「そうね、いつかね」

ぱぁっと花が咲く様な笑顔がそこにはあった。


 


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