夜も遅くなりかけた頃任務からへとへとで帰って来た私の家に突如鳴り響いたインターホン。さっさと風呂に入って寝たい、そう思い無視をしようと思ったもののこれがなかなかしつこい。連打ではないが微妙なタイミングで鳴り続けるそれに先に折れたのは私だった。

「…はい、どちら…っ」

ゆっくりと開きかけた扉が半ば強引に開けられて誰かを確認する間も無く何かに包まれた。敵か、とも思ったがこの香りには覚えがあった。

「…カズラ」
「イ、イタチ…!?」

ぎゅうぎゅうに抱き締められ正直恥ずかしさよりも苦しさが先に私を襲い、背中を叩けばハッとした様にイタチが私を解放してくれた。

「あ…いや、その、……すまない」
「大丈夫だけど…どうしたの?」

しゅんと申し訳なさそうにするイタチに少し心が痛む。物言いた気な瞳が私を見つめながら揺れていた。重い口がそっと開かれるのを私は固唾を飲んで見守る。

「歩いてたら偶然見かけてそのまま追って来たんだ」
「うん」
「…今日の朝には里に着くと聞いていたが、ずっと姿を見なかった。だから」
「あ、あぁ…ちょっと手こずっちゃって」
「怪我、は?」
「ないよ」
「…よかった」

私のその返答にイタチの緊張の糸みたいな何かが切れた様なのを感じた。少し視線が泳いでおりやはり何だからしくなかった。

「…もしかしなくても、心配してくれた?」

図星だったのか微かに肩が揺れる。そんな様子に不謹慎だが頬が緩むのが自分でもよくわかった。くすくすと自然に笑いが込み上げてくれば目の前のイタチに怪訝そうに眉間へしわを寄せた。

「ただいま、イタチ」
「っ…」
「…ありがとう」

いつの間にか私より大きくなったイタチにゆっくりと近付き男らしくなったその背中に腕を回した。随分と広くなったなぁ何て呑気に構えていると先程の比じゃないくらいにそのたくましい腕で抱き締められる。やっぱり少しだけ苦しい気がした。

 


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