(現パロ)
するり。
それなりの満員電車の中でお尻の辺りに感じた違和感。あぁこれは痴漢か、何て冷静に状況を判断しどうしたものかなと考えようとした私よりも早く、尻を撫で回していた手が掴まれ上に上げられた。
「オイ…何、やってんだテメェ…」
腹の底から出すような声で私の後ろに立っていたスーツの男にメンチを切っているのは他でもない私の左隣に立っていたサスケだった。呆気にとられる私を他所にサスケはギリリとその腕を握っており、男から悲痛な声が上がる。少し可哀想になり止めようとしたが其れよりも早く電車の扉が開く、そしてその隙をついたのだろう男は、力一杯腕を振り切って逃げてしまった。
あまりにも一瞬の事で何も言えずにいたがとりあえず降りる駅だったので電車からは降りた。
「…大丈夫か、カズラ」
終始無言な私を心配してか、様子を窺う様に少しかがんで話しかけてきたのは右隣のイタチ。それに慌てて大丈夫、と言った私をサスケは鼻で笑った。
「…どうせ驚いただけに決まってる」
「そう言うなサスケ。カズラだって怖くて声が出なかったのかもしれないだろ?」
「大の男を吹っ飛ばす奴があれぐらいで怖がるかよ」
朝特有の人混みにもまれていつの間にかイタチを挟むように歩いている。サスケの言葉にはカチンと来たがこいつが助けてくれたのは変えようのない真実なのだ。湧き上がりかけていた怒りを抑えイタチ越しにサスケを見ると目線があった。
「すまないな、カズラ。俺も助けようとしたんだがサスケの方が早かった」
「い、いや、いいよ!どっちにしろ背負い投げでもしてやろうと思ってたし…」
「ほらな」
「…サスケ」
イタチに名前を呼ばれるとばつが悪そうにするもののぐっとサスケが黙る。鶴の一声だ、と思って見ていると思いっきり顔をそらされてしまった。
「……言いたいことは山程あるけど、とりあえずありがとう、サスケ」
「フン…別にお前の為じゃない、兄さんの為だ」
「………?」
何を言っているのだ、こいつは。
何がイタチの為になったのかと怪訝そうなな顔をする私を知ってか知らずか、少し誇らしげと言うか自慢げと言うかそう言った表情で語り始めた。
「…認めたくはないが、お前のは一応兄さんの彼女だ。」
「う、うん…」
「自分の恋人が痴漢されて嬉しい奴なんて1人もいる訳が無い…だから兄さんそんな不快な思いを少しでもさせない為に俺はお前を助けたんだ。」
「……」
「全ては兄さんの為だ。理解したか」
サスケのその言葉に驚きやら何やらで固まっている私を肯定ととったのか、満足した顔で彼は鞄を持ち直した。相変わらずのブラコン…と言うか兄貴大好きだなと思う私の頭にぽんっと手が置かれる。誰かなんて見るまでもない。
「そうだったのか…悪いな、サスケ」
「べ、別に?…礼を言われるような事じゃねぇ」
照れ臭そうに、けれど嬉しそうにサスケはそう言った。そしてイタチもまた嬉しそうに笑顔を浮かべながら私の頭を撫でている。そんな2人をじっと観察していると不意にこちらへ振り返ったイタチと目が合った。
「い、イタチ…?」
頬が少し赤くなるのを感じた。ふわりと笑うイタチのこの笑顔に私はとことん弱いのだ。そんな私にイタチは笑顔のまま話し出す。
「優しい弟を持って俺達は幸せ者だな」
「…へっ?」
「…やはりサスケは俺の自慢の弟だ」
あぁ、忘れていた。
彼もまた、物凄いブラコンなのだと。
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