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「そう言えばこの前サスケがサクラちゃんにデコトンしてるの見たんだ」
「そうか」
「イタチの真似してるのかな?」
「………、かもな」
「…なーに、嬉しそうにしてんの」

隣に座っていたイタチをちらりと見れば確かに頬が緩んでいた。相変わらずのブラコンっぷりだがそんな所も嫌いじゃない。

「嬉しそうになんて…」
「してる。ニヤニヤしちゃって」
「おい…カズラ」

むにっと頬を軽く摘まんでやるとやれやれと言った顔でイタチが私を見つめじっと見つめてくる。視線が交わるも耐え切れなかった私の方からそれを逸らした。それから何時もの優しい声で放してくれないか、と言うイタチをずるいと思う。

「イタチの1番がサスケってのは、分かってるけど妬けちゃうねー…」
「………、カズラ」

呼ばれた名前につい、反射的にイタチの方を向いてしまうとスッと前髪をあげられ可愛らしいリップ音と共に額に何かが触れた。予想外の事に固まる私を笑みを浮かべつつ眺めるイタチに次第と状況が掴めてくる。

「カズラ、俺はお前の事もサスケと同じくらい…っ!!」
「う、うわぁぁぁあ!!」

つい、本当に思わず、込み上げてきた恥ずかしさやら何やらに身を任せて気付いた時には手が出ていた。そして勢いそのまま駆け出してその場からいなくなった彼女は、結構いい音をさせながら見事に鳩尾に入った一発に悶えているイタチを知らない。

「…、今のは効いたぞ…カズラっ」

徐々に見えなくなる背中にそう言えばこの前5代目に修行をつけてもらえる事になったと意気揚々と語っていた姿を思い出す。
そしてもう、こう言う誰が見ているか分からない場所ではあぁ言う行動はしないしないようにしようと心に誓ったイタチであった。
 


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