蟷螂7
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吉三 / 現代パロ / 転生ネタ / 高校生 / 女体化
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特徴的な前髪はそのままに、冬の月のような髪の色も、つり目がちな眼窩に収まる鴬色の瞳も、すらりと伸びた手足も、白すぎると感じる肌も、前世とまったく、変わりない。
それなのに、今の三成が女であると判じえた、一番の理由はその身にまとった服であった。
大きな臙脂のセーラーカラーに、同色の膝丈スカート。きっちりとプレスされたプリーツは、持ち主の性格を表しているようだった。
つまるところ、三成は女物の制服を着て現れたのだ。
これが男であった時の姿と寸分変わらぬ体つきをしていたなら、さぞや見物であっただろうが、生まれ変わった三成は物の見事にこの制服を着こなしていた。それは何も、胸の辺りまで伸ばされた銀髪の所為、だけではあるまい。
よくよく見れば、三成は吉継の知っている三成と少しずつ違っていた。
白い肌はそれでも健康的な赤みを含んでいたし、体の線はどこか丸みを帯びて見えた。触れる肌は柔らかく、今に骨の形がそのまま見えるかと思った、あの体とはまったく違う。疑いだせば、同じだと思った目元さえ、違うものに見えてくる。
三成の眼は、このような色をしていただろうか。
――此は真に、三成か。
吉継の戸惑いをよそに、隣では三成が淡々と言葉をつむいでいった。
「気遣いなどいらん。私はこの体を受け入れている。貴様らも気にするな」
「気にするな、ってぇ言われ」
「承知した」
「ても……って! お前、受け入れんのが早すぎだろうが!」
「男だろうが女だろうが、所詮、中身はあの石田ぞ。何を気にしろというのだ。……まぁ、非リアの貴様では意識するなという方が無理か」
「テメェ……!」
真正面から、ばっと伸ばされた腕を元就はいともたやすげに避けてみせた。避けた先で、さらに元親を鼻で笑う。
「図星か? 長曾我部」
「言わせておけば……っ! 言っとくがなぁ、後で泣きをみるのはお前の方なんだぜ?」
「ハッ! その程度の脅しに屈する我ではないわ!」
左右両方でそれぞれが、やかましく言い争い始める。もはや吉継にとっては見慣れた光景だったが、三成にとってはそうではないようで、しきりに目をぱちくりさせている。特に、毛利に対しては、何故かは知らぬが、並々ならぬ敵がい心を示していたようだから、その相手がこうして、子どもがするような口喧嘩に興じているというのは、違和感があるのだろう、と吉継は当たりをつけた。
頭は回るが、あまり口の立つ方ではなかった三成は、元就に噛み付いては体よくあしらわれていた。吉継の知っている三成は、そうだった。
「みつ、なり」
そんな風に感傷に浸るのは、この十何年、飽きる程してきたことだというのに。
今この時、益にもならぬ思い出に身を浸していたことを、吉継は後悔した。
「ワシを……まだ、恨んでいるのか」
他ならぬ家康から、その言葉を吐かせてしまったことを。
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念のため:【非リア】リア充の対義語、リアル(現実)生活が充実しているに非ず、の意。
2011/02/02
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