#2:Dirty work 2「テメェのほうがガキじゃねぇか」 少女は自分の年齢を知らないが、おそらく十代後半だ。ロビンはそれより幼く見える。たぶん2、3歳程度の違いだろうが彼女は大げさに肩を竦めて見せた。 「だってホラ、お前ってあたしより背がちっこい」 上手くすれば頭に血が上ってくれると思った。案の定小鳥は気分を害したようだ。拘束した男を地面に転がし、少女との距離を一気に詰める。彼女は子供の繰り出す拳を上手く捌き、腹部に蹴りをお見舞いしてやった。 相手も素人ではない。自分から後方に飛んで蹴りの勢いを殺し、少女の足を掴んで引き倒す。 バランスを崩した少女は地面に手を突いて体勢を立て直した。 ついでに両腕を軸にして円を描くように回転し、敵に足払いをかける。今度は流石に避けきれず、少年が転倒した。 「うわっ」 彼が起き上がるまでのタイムラグで細い身体の上に乗り、首筋にナイフを突きつける。 「力も弱いみたいだなぁー、坊やぁ?」 押さえつけられた少年は倒れた際顔でも打ったのだろうか。鼻から血を流していた。それでも彼は口の片端をゆがめて笑う。 「坊や? 君に言われたくないよ。"お嬢さん"」 「チビガキがよくいうぜ」 「いや、君のほうがガキだよ。やっぱり」 「あ?」 「だって君、僕よりバカだろ」 少女が眉を顰めた。なにか言おうとして、しかし背後の気配に気づき振り返る。全身黒ずくめの蝙蝠が自分に向けて拳を振りかぶっているところだった。 避けようとするも間に合わず、顔面に強打を受けて吹っ飛ぶハメになる。 「ぐべっ!」 本日二度目の間抜けな悲鳴を上げ、彼女は地面に転がった。同時に今まで組み敷かれていた小鳥がボーラを投げつけてくる。重りの付いたロープだ。くくりつけられた球体の重みと遠心力で少女の身体に絡みつき、動きを阻害する。 バットマンが感情のうかがい知れない声で言った。 「強化素材のワイヤーだ。抵抗するだけ無駄だぞ」 彼の行った通り、少女がどれだけ暴れてもロープが外れる様子はない。もっと悪いことにロビンが近づいてきて、さらに彼女の腕と足をロープで縛る。 「もちろんこれも強化素材ワイヤーだから」 「チクショウふざけんなっ! 外せばか! このクソ!! 死ねタコ!」 少女の叫びを無視して、蝙蝠と小鳥は他の獲物を探し船のほうへと向かって行った。 [しおりを挟む] 目次 戻る |