本番開始1 数回殴打の応酬をした後、ロジャーとビーストは互いに後方へ飛び距離を取った。最初に口を開いたのは大男のほうだ。 「本当にひとりで戦う気かよ? マトモじゃねぇなぁ。俺はテメェの弱点だって知ってんだ。頭潰せばテメェはすぐに死ぬんだぜ? "ネルガル"はテメェを殺してでも連れてこいとさ」 「潰してみろよ。先にテメェの頭を潰してやる」 ビーストの買い言葉を聞いてクサリフが鼻で笑う。 「ハッ、さっきのガキが言ってたじゃねぇか。テメェ、殺しはダメなんだろ? 今の"飼い主"に止められてんだ。そんなガキ楽勝だぜ!」 ロジャーが少女に向かって拳を振りかぶった。ビーストが即座に腕で防御するも、力任せにガードをこじ開けられる。 殴られる前に後ろに飛んで攻撃を避けた。 横から蹴りが飛んできて、手でガードするも防ぎきれずに吹き飛ばされる。 「チッ」 地面に激突する寸前、身体を回転させ勢いを殺し、そのまま物陰に隠れた。 自分を追うロジャーの声が聞こえてくる。 「ネズミみてぇにチョロチョロ隠れやがって! すぐ絞め殺してやるぜ、狩りの時間だ!」 足音が近づいて来た。 このままでは、やはり体格の関係でビーストが不利だ。 打開策を見つけなければいけない。 切り札を切るべきだ。 胸に手を当てた少女は、近づいて来る足音を聞きながら1度大きく深呼吸をした。 バットマンに拾われ、戦闘訓練(人を"殺さないように"戦う訓練)をする時、彼に――ブルースに言われたことを思い出す。 [しおりを挟む] 目次 戻る |