Urdimmu: First Contact

#4:merchant of death


 船の持ち主はネルガルという名の国際的武器商人組織だった。
 国からマフィア、テロ組織や個人に至るまで幅広く取引を行う巨大組織で、末端まで含めるとその構成員は莫大な数になるという。
 そのネルガルが製造した"生体兵器"があの東洋人の少女だ。
 兵器となるため作られたのか、攫われたのか、売られてきたのかは判然としない。
 データ上の名前はY21。
 武器商人の男が叫んでいた名称だ。
 商品名を"ウリディンム"という彼女は、ネルガルが入手した地球外生命体に寄生され、異常回復能力と強大な身体能力を手に入れたらしい。
 虹彩の色が変化したのは地球外生命体――ネルガルの研究員は"ニナズ"と呼んでいるようだ――が発するエネルギーによるもの。
 なんでも宿主が危機に陥った際には理性を取り除き安全になるまで暴れ回るよう仕向ける特性を持つのだという。
 ニナズと宿主を殺すには、頭部を完全に破壊する以外方法はないようだ。

「で、宿主はこの"ニナズ"の分までエネルギーを取らなきゃいけないから、食事量が増えるらしいよ」

 ウェイン邸の地下に作られたバットケイブは、洞窟の再利用とあって今日も薄暗い。
 警察が来る前にできるだけデータを引き出したロビンは、手に入れた情報を紙にまとめてバットマンに渡す。一通り目を通した蝙蝠は多少不機嫌さを滲ませたままバットコンピューターの前に腰掛けた。

「"生体兵器"か……Y21とウリディンムのふたつで調べて見たが、どうやら11年前から実戦投入されているようだ」

「11年前!? 嘘だろ、彼女いっててもせいぜい10代後半だ! 4、5歳ころから人殺しをしてたって!?」

「それだけならまだいいがな。問題は国家ぐるみの取引もあることだ」

「悪夢みたいな話だね」

 ロビンの視線の先に、拘束着を着た少女が眠っていた。傷は完治しており暴れる様子も見られない。薬で眠っているとは思えない安らかな顔をしていた。

「……彼女、どうする気?」

「……そうだな……」

 迷う素振りを見ながら、その実バットマンの中で答えは出ているようなものだった。
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DANGERHAPPY