De5trucT ココロノ在処、


そこには漆黒月ノ覇王、彼がいた。
突っ立ったままの彼は、目を固く閉ざしている。

その瞳が時々痙攣を起こしているように震える。

――目が開かない?

残月は漆黒月に触れた。

鋭い痛みが全身を貫いた。

そして彼が翼を広げた。

強い拒絶。

『漆黒月!!』

痛みがか、彼を求めるように名を叫ぶ。

再度伸ばす手に彼の声を聞いた…。

「僕は…彼と居たいんだ…。絶望()もオレなんだ……」

総てを閉ざすような彼のコトバ。
漆黒月の力、覇王の名は重く、酷く精神(ココロ)を融かす…。

逆ラエナイ絶対的脅威。

そんな彼が一瞬空気を変えた。

『受ケ止メロ…!』

そのコトバと同時に漆黒月ノ覇王の体が残月ノ雨鎖葵の方へ飛んできた。

『……っ』

重い感覚。重力が自分の回りに集中しているかのような不快な感覚。だがそれは、暫くすると収まりをみせた。

赤の強い髪が目の前にある。

スッと開いた瞳に殺気を露にした。

鋭く冷たい瞳。
絶望の瞳。
だが、瞳以外は漆黒月ノ覇王そのものだ。

『……あまり責めてやるな』

ふっと笑うとそう絶望(かれ)は言った。
そして空気に緩やかさを感じ始める。

絶望(あいつ)は、姿を変えずに現れるようになったのか…?
漆黒月…オレはお前に消えてほしくないんだ…』

――絶望ノ言葉は、残月ノ雨鎖葵(かれ)には……




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