L0st 浮カビ上ガル色、沈ミユク色
首を掴まれて……。
「………」
抵抗を見せない漆黒月に手の力を若干込める。
それに合わせるように漆黒月ノ覇王は、その紫をゆっくり閉じた。
苦しむ素振りさえ見せない彼に、このまま本当に殺してしまうのではないかという恐怖に残月ノ雨鎖葵は躊躇いの色を浮かべる。
絶望が現れた時の想いを思い出した……。
――いっそ殺してやる…
その言葉に偽りはなかった。彼が堕ちてしまうくらいなら……。
けれど目の前の彼は、まだ彼だ。堕ちてはいないのだ。
『なんで抵抗しないんだ……、漆黒月ノ覇王…』
「……」
――どうして、オレは……漆黒月の名を、覇王の名で存在し(てしまったんだ……。
ずっと考えていた。残月ノ雨鎖葵の声が遠くに感じていた。
浮ビ上ガル黒、沈ムK(くろ)。
沈ミユク赩(あか)。
少女(にんげん)を失ったことにより 存在し始め(うまれ)た絶望(ゼノゥ)。
もし、自分が絶望を失ったら、彼の存在も、あの少女(にんげん)のように消えてしまうのだろうかと、考えていた。それならば自分はずっと絶望したままでいいと、そう思っていた。
このまま、残月ノ雨鎖葵の手によって漆黒月ノ覇王(じぶん)というモノが消えてしまえるのなら…
それでいい……。
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