35.やめて!爆弾発言(泣)
…抵抗する間もなかった。
許されるなら、お願いだからその一言だけ…
…言わせて下さい(涙)
『見上げれば同じ空。<35>』
「じゃ〜〜〜んっ!!」
あたしはブルマさんに連れられて、再び悟空のところに戻ってきた。
楽しかったけど、ちょっぴり疲れた体で悟空の前に立つ。
「あら、べジータ。あんたもいたの」
「いちゃ悪いか」
「そうは言ってないでしょ?それより見てよこれ〜、可愛いと思わない?」
そう言って、ブルマさんはあたしの背中を押して2人の前にズイッと進ませた。
「わわっ」
あれからしばらく…
あたしはブルマさんの見事な着せ替え人形になっていた。
本当にブルマさんは衣装持ちだ。
もちろん、あたしだって女の子だから…綺麗な服を見たら心だって躍ります。
でも、そこはさすがブルマさん。
なんというか、セクシーな服がほとんど。
あたしにはそんな服は似合いません〜〜〜!!
って、だいぶ頑張ったんだけど、みるみるうちに着替えさせられ…
今に至る。
「名前はちゃぁんと出るトコ出てんだから、隠してちゃもったいないわよ〜」
「いや、でもやっぱり恥ずかっ」
「いいわよね、こういうの。私、女の子欲しかったのよ〜」
「……………」
あたしの言葉なんて耳に入っていないようで…ブルマさんの瞳がキラキラと輝いている。
あの、ブルマさんが暴走してます…
お願い、止めて。
そんな意味合いを込めて、べジータさんをちらっと見てみるけどさり気なく顔を背けられただけで終わった。
なんか…力関係が伺えるなぁ…
その時、べジータさんの目が再びあたしに向けられる。
今度は何故だろう…じっと見すぎなくらい。
「“気”の種類はわからんでもないが、やはりお前が言うようには見えんがな…カカロット」
「でも本当のことだしなぁ」
「え、なに?」
2人の視線を受けて、首を傾げるしかないあたし。
そんなことをしながら、短いスカートの丈をそっと下へと引っ張る。
「それよりべジータ。今日はもう出掛けないでよね」
「…何故だ?」
「孫くんたちを夕飯に誘ったの。あ、それから明日も、ね」
そう言いながらウィンクして見せるブルマさん。
「孫くんと名前も明日大丈夫だったわよね?」
「え?ああ、オラたちは特に用事ってねぇからな〜。なっ、名前!」
「え…う、うん」
悟空に話しかけられて、訳がわからないまま頷くあたし。
あたしたちの返答を聞いて、ブルマさんの瞳がキランと光った。
あたしは見た!!
「あ、あの、ブルマさん?」
明日、何かあるの??
そう言い出す前にブルマさんがニンマリと笑う。
「孫くんも名前も、今日はこのまま泊まっていきなさいね。悟飯くんも悟天くんもどうせ後から来るんでしょ?」
「それはまぁ…置手紙してきたので、たぶん」
「だったら問題ないじゃない。明日は、このままみんなで温泉に行くのよっ!!!」
お、温泉!?
突然の提案に瞬きを繰り返してしまう。
何で…いきなり温泉なの?
っていうか、この世界にも温泉ってあるんだぁ…
「もう他のみんなにも連絡しちゃったんだからキャンセルはなしよ?名前をみんなに紹介するいい機会じゃないの。ねっ、孫くん」
「ああ、そだな」
ブルマさんの言葉にあたしは思わず反応した。
え…紹介って、他の皆さんに…ってこと?
それは、ちょっと嬉しいかもしれない!
だって…どんな状況に陥っても元の世界でドラゴンボール大好きだったのは紛れもない事実だし、ね。
「温泉ってでっけぇ風呂だろ?楽しみだな〜」
内心ウキウキしているあたしの横で悟空が嬉しそうに笑っている。
そうだよね、いきなりでびっくりしたけどあたしも楽しみ。
もしかしたらブルマさんは沈んでいたあたしを元気付けようとしてくれているのかも。
何となくそう思って…あたしも自然と笑顔になっていた。
「名前〜、でっけぇ風呂だぞ!おめぇも行けるよな?」
「うん」
「一緒に入ろうな!」
「ぶっ…!!?」
またしてもの発言に…まだまだ慣れなくて吹くあたし。
ブルマさんはびっくりしているだけみたいだったけど、その奥ではべジータさんが思いっきりずっこけている。
「お、お前ら…そういう関係だったのか」
「ん?何がだ、べジータ」
「ちっ、違うんです違うんです〜〜!!もうっ、悟空!!」
「ど、どうしたんだよ、名前?」
「前にも言ったでしょ!男の人と女の人は一緒にお風呂には入れないの!!」
「そ、そうなんか??」
お願いだから、みんなの前でそういう恥ずかしいことは言わないでっ!!
思わず悟空に詰め寄るあたしにべジータさんとブルマさんは唖然としているようだった。
別に漫才かましてる訳じゃないんですよ?(必死)
「あははっ、やっぱ面白いわアンタたち」
あっという間に決まった温泉一泊旅行。
その夜、悟飯くんと悟天くんもブルマさん宅にやってきてその話を聞いて…
喜んでた。
だけど、夕飯を食べながらあたしはやけに静かになっていて…
「どうしたんだ、名前?具合でも悪いんか?」
「えっ、違うよ、元気だよ!」
「そっか、ならいいけどよ…随分静かじゃねぇか」
「そ、そんなことないよ〜」
悟空に話しかけられただけなのに、ドキドキしてしまっているあたしがいる。
そんなあたしを見て、向こうでブルマさんがニンマリしている気がした。
あたしがたったこれだけのことでドギマギしてしまっているのは…ブルマさんのせいだ。
もとい、さっき耳打ちされたブルマさんの一言のせいだ。
悟空はそれを知らない。
ええ、どうか気付かないでいて。
“孫くん、イイ男なんだから頑張んなさいよ〜”