48.幸せアイコンタクト
ブルマさんにお呼ばれした夕食会。
次々と皆集まってくる。
「悟空、久しぶりだな!」
「おう、クリリンもヤムチャも元気そうだな」
「まぁな」
ふと目が合ったから、あたしもペコリと会釈した。
「名前ちゃんも相変わらず可愛いな」
「もう、ヤムチャさんったら…そんなこと言っても何も出ませんよ?」
「はは、気持ちだよ、気持ち」
ヤムチャさんの一言に思わず頬を赤くしてしまう。
ヤムチャさんは本当に女の人が喜ぶツボを押さえていると思う…
その横でクリリンさんが悟空のことを肘でつついているのが目に入った。
「で?その後はどうなんだよ、進展あったのか?彼女とは」
「シンテン??」
「関係は進んだのかってことだよ」
「あぁ!付き合ぇ始めたんだ、オラたち」
「そ〜かそ〜か…って…」
なっ!、と悟空に言われ、あたしも照れながら頷く。
その刹那…
「「えええぇぇぇぇぇっ!!!」」
クリリンさん&ヤムチャさん…絶叫。
ブルマさんの時も思ったけど…そんなに驚かなくても…
『見上げれば同じ空。<48>』
「肉ならお手伝いロボットがどんどん焼くから、皆食べてね〜」
全員に向けてのブルマさんの言葉でいざバーベキューが開始。
良いにおいが広いフロアに広がってくる。
あ…そうだ!
「ブルマさん」
「なぁに、名前?」
「あの、手ぶらで来るのも何かと思って…少しですけど、料理作ってきたんです」
「え〜、いいのに、気を遣わなくても」
いえいえ。
いっつもこうしてお呼ばれしているし…これくらいはしないと、ね。
あたしは大きな包みをテーブルの上に乗せようとするけど…
…お、重い…
う〜、と頑張るあたしだけど、その時一瞬でその重みを感じなくなった。
「え…」
キョトン、として顔を上げると悟空が荷物をヒョイ、と軽々とテーブルに乗せてくれていて。
「大ぇ丈夫か?」
「う、うん、ありがとう悟空」
「あぁ!おめぇも早く食わねぇとなくなるぞ」
「あはは、悟空みたいにたくさん食べないから大丈夫だよ」
笑いながらそう言うと、悟空はそっか、と言ってそのまま皆の輪の中へと戻って行った。
優しいなぁ…ホントに。
なんて心の中でそっと惚気ていると…
「うふふっ、ラブラブなとこ見せつけてくれちゃってvv」
ブルマさんがにんまりと笑っていて、一気に頬が熱くなる。
「そっ、そんなこと…ないです」
「謙遜しないのvv」
「……………」
恥ずかしすぎる…
早くこれをブルマさんに渡して、あたしも皆の輪の中に入ろう…
「じゃあこれ…本当に大したモノは作れないんですけど」
「あら、そんなことないわよ、すごいじゃない」
お膳を覗き込むようにしているブルマさんに、何の料理なの??と聞かれる。
えっと…
「こっちが巨大魚の煮付けで…そっちがパオズザウルスの尻尾の照り焼きです」
「…へ?」
「で、これがパオズイモリの塩焼き」
「……………」
…ん?
何故か何度も料理とあたしを交互に見ているブルマさん。
思わず首を傾げるあたしだったけど…
「あ、はは…アンタ、パオズ山でうまくやってんのね〜…」
若干引き攣りながらそう言われた。
…や、やってしまった…
「でっ、でも、食べたら美味しいんですよっ!」
「それは知ってるけど…この食材で料理も出来るようになってるなんて…大したものだわ」
「いやぁ…」
「あ、褒めてるのよ?」
「はぁ…どうも」
慣れとは、怖いものだ…本当に。
ぼんやりとそんなことを思いながら、あたしは笑うしかなかった。
「こんにちは!」
「あ…お久し振りです」
とりあえず、食べる物をお皿に取ってテーブルに付くと、一人の女の子が寄ってきた。
ビーデルさんだ。
最初は色んな誤解があって、何やら険悪ムードが漂ってしまっていたあたしたちだけど、和解してからは話も合うし、仲良くしている。
「もう敬語なんて使わないでよ〜、あたしのほうが年下なんだから」
「あ、はは…なんか癖で」
にこにこしながらあたしの横に腰を下ろすビーデルさん。
う〜ん…今日は特別機嫌が良いらしい。
その理由を聞こうとした矢先…
「聞いたわよ〜、悟空さんと両想いになれたんですって?」
「っ…!」
「よかったじゃない、何だかあたしまで嬉しくって」
「あ、ありがと…」
改めて言われると、本当に恥ずかしくて仕方がない。
ちらっと顔を上げると、クリリンさんたちと一緒にいる悟空とふと目が合った。
あたしと目が合ったことに気が付いて、小さくにこっと笑う彼。
熱くなる頬を両手で押さえつつ、あたしも小さく微笑み返した。
…何、今の!
顔を上げた瞬間、目が合ったってことは…悟空、あたしのこと見てたのかな?
いやいや…ただの自惚れかもしれないし。
で、でも…もし本当にそうだったとしたら…やだ、どうしよう、嬉しすぎる!!
「名前」
しかも、今…あたしっ、あの悟空とアイコンタクトして…
「…名前??」
きゃぁぁぁぁぁ〜〜〜!!!(発狂)
「名前!!」
「…えっ!?」
「どうしたのよ?見事な百面相…」
「あ…ごめん、何でもないの」
あたしの顔を覗き込んでくるようにしているビーデルさんに曖昧に微笑んで、思わず目を逸らした。
…何やってんだ、あたし。
一人で脳内暴走している場合じゃないでしょうに!!
「でも、両想いかぁ…何だかいいなぁ」
ふと振り向いた時に、ビーデルさんが小さく呟いた言葉をあたしは聞き逃さなかった。
「ビーデルさんも頑張って!」
「っ、な、なによ…私は別に…」
「悟飯くんも、ビーデルさんのこと気に入ってると思うけど」
「えっ…ホ、ホント!!?」
ずずい、と身を乗り出してくるビーデルさんの迫力に押されつつも頷くあたし。
…まぁ、悟飯くんとビーデルさんがくっつくことはわかってるし…ね。
口が裂けても言えないけど…その代わり、あたしは精一杯応援するから。
「だけど悟飯くん…勉強は出来るのに、こういうことにはてんで疎いんだもん」
「あはは…さすが親子っていうとこかな。悟空のそういうことに関する鈍さも相当のモノだもの」
「そっかぁ…それでも悟空さんと名前は付き合い始めたんだもんね…」
「ま、まぁそうだね」
ブルマさんに言わせてみれば、あたしも相当鈍かったみたいだから、こうして無事に想いを伝えあうことが出来たのは奇跡に近かったのかもしれないけど。
「よぉし、あたしも頑張ろう」
「そうだよ、その意気!!じゃあ、早速善は急げ、だよ!!」
「えっ…えぇっ!!!」
ちょうど座るところを探しているらしい悟飯くんの姿を見付けて…
あたしはビーデルさんの背中を軽く押した。
驚いていたみたいだったけど、意を決したように悟飯くんに話しかけて、そのまま近くの椅子に2人でつくビーデルさん。
…あはは、顔真っ赤になってるよ…
「気は強い感じなのに…なんか可愛いなぁ」
何だか微笑ましくなってしまうあたし。
その時、ふと顔を上げるとまた悟空と目が合った。
これだけですごくすごく幸せな気持ちになってしまうあたしは…本当に重症かもしれない。
言葉では言い切れないくらい…彼のことが好きだ。