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後日。たまたまスケジュール的に休みだった志津馬は子どもたちと共に杯戸ショッピングモールを訪れることに。
「わぁーお店がいっぱぁーい!!」
「天井高っけぇー!!」
「前に家族で来たこともありますけど、やっぱり広いですよねぇー!!」
『ちょっと君たち。はしゃぎすぎて迷子とかにならないでよー?』
「「「はぁーい!!!!」」」
楽しそうにはしゃぐ三人を横目に彼女も施設内を見渡してみる。
『にしても、杯戸町にこんな大きな施設があったなんてねぇ…』
「米花町結構広いから、隣町まで把握するのはなかなか難しいよね。」
『そうそう。』
「あら、そうかしら。あなたは毛利探偵みたいに難事件を解決する必要がないから隣町を探索するくらいの暇な時間はたくさんありそうなものだけど。」
「オイ灰原…」
『今のところポアロのシフトもちゃんと入ってるし、これでも依頼は隙間なく来てるからそんな心配は無用だよ、哀ちゃん?』
「心配してるだなんて一言も言った覚えないわよ。」
「(この二人、いつの間に軽口言い合う仲になってんだよ…)」
彼女たちのやり取りにコナンが苦笑いを浮かべていると、彼らの前に大きなステージが見えてきた。
「あ!!あそこじゃない?仮面ヤイバーのショーをやるの!!」
「ぜってぇーそうだよ!!」
「"整理券をお持ちの方はこちら"ってなってるから、きっともう席に座れますよ!!」
「やったぁ!!」「やったぜぇ!!」
『コラ、危ないから走らないの!!』
元気だなまったく…と志津馬は整理券と書かれたの看板を持つ女性の方へと駆けていく子どもたちを見ながらため息をついていると、
「志津馬さんごめん、ボクちょっとトイレ!!」
『は?ちょ、コナンくん!?』
突如コナンも走り出す。しかし、その方向は彼らとは全く別の方向で彼女は思わず声を上げた。
『ったく、トイレくらいここ来る前に済ませておきなさいや…』
「あれ。トイレじゃないわよ。」
『え?』
前を向いたままそう話す灰原の言葉に志津馬は目を見開いて振り返る。
「あそこにスーツ姿の男の人がいるでしょ。あの人、彼の知り合いで捜査一課の刑事。」
『捜査一課の、刑事…!?』
彼女の視線の先を追うとそこには確かにコナンと目線を合わせるようにしゃがみ込んで何かを話しているスーツ姿の男性がいた。
『(あの人、どこかで…)』
その人物に見覚えがあることに、志津馬自身も驚く。その一方で…
「こちら1階北側フロア高木、今のところ犯人と思しき人物は現れていません。」
「高木刑事!!」
「え?……うわっ、こ、コナンくん!?」
「えへへー」
「どうしてここに…あ、毛利さんたちとお買いものかい?」
「ううん。今日は仮面ヤイバーのショーを観に来たんだ。」
「そういえばここで大きなショーが行われるって千葉が言ってたけど、もしかしてそれのことかな。」
「高木刑事は佐藤刑事とデート…なわけないよね。だったら普通私服で来るだろうし。」
「あ、いや「もしかして私服で潜入する時間もないくらい、何か切羽詰まった事件がここで起ころうとしてるんじゃない?それとも、もう起こってるの…!?」
「(追い返そうとしてもこの子の場合無駄だろうからなぁ…)」
興味津々に問いただすコナンを前に、高木はため息を一息つくとおもむろに口を開いた。
「…実は本庁に、このショッピングモールで指名手配犯を見たという匿名の情報が入ったんだ。名前を聞くからにして手配書の貼り紙もしてあるくらいの犯人だからなくはない話なんだけど、いたずらの可能性もあるから張り込んでいる刑事は少ないし、巡回中だった僕と佐藤さんも途中で呼ばれてついさっき来たばかりでね。」
「(指名手配犯が、このショッピングモールに…!?)」
「まぁ今のところ有力な目撃情報も上がってないから、今回は外れだったかなぁ「キャアアアア!!!!」
「「っ!?」」
高木の声を遮るように遠くの方から女性の甲高い悲鳴のような声が聞こえて二人は思わず勢いよく振り返る。そしてのその声は、ショーのステージ付近にいた志津馬たちの耳にも届いていた。
「今の声…なんでしょう。悲鳴ですかね?」
「あぁ?もうショー始まっちまったのかぁ?」
「でもまだステージ暗いよー?」
子どもたちが不思議がる中、志津馬と灰原の表情は険しいものになっていく。
「ねぇ、今のって…」
『うん。さっきの悲鳴の後から上の階がざわついてる。何かがおかしい…哀ちゃん、この子たちのこと頼んだ!!』
「え?ちょっと…あなたまでどこ行くのよ!?『上の様子見てくる!!』
「…ここにもいたわね。好奇心と探究心の塊が。」
席から立って後ろに駆け出す彼女の姿を見つめて灰原は誰かと重ね合わせていた。その頃、高木とコナンも悲鳴のあった方へ向かうべくエスカレーターで上がろうとするが…
「ダメだ、この人だかりじゃ乗るに乗れないな…今日は休日だから余計に混んでるだろうし。」
「…階段を使おう!!」
エスカレーターに乗ることを断念した彼らは非常階段から上へ上ることに。
《高木くん!!》
「あ、はい、佐藤さん!!」
高木の耳につけていたイヤモニから佐藤の声が聞こえてくる。
《今私がいるのは2階中央、上の方から女性の悲鳴と犯人の男らしい叫び声が聞こえたわ。おそらく犯人は3階の南側付近にいるはずよ!!》
「了解しました!!」
「(3階の南側なんて、こっから真反対じゃねぇーか…!!)」
《コナンくん…コナンくん聞こえる!?》
「(この声、志津馬さん?一体どこから…探偵バッジか!!)」
突然聞こえてきた声にコナンは走りながらバッジを取り出した。
「志津馬さん、聞こえるよ!!」
《よかった…阿笠さんから探偵バッジの予備を貰ってたの。さっき上の階から悲鳴が聞こえたのには気づいた?》
「うん。今知り合いの刑事さんと3階の南側に向かってる!!」
《3階の南側……待ってコナンくん!!》
「え?」
その一言で、急いでいたコナンの足が止まる。
《今日ってあのボールが出るベルト、付けてるよね。》
「付けてるけど。」
《キック力増強シューズは?》
「履いてる。充電もしてあるよ。」
《了解…君は2階中央のエスカレーター付近で待機してて。》
「2階中央って…志津馬さんは?」
《私がなんとかそこまで、犯人を追い詰める!!》
「追い詰めるってどうやって…」
《心配しないで。ちゃんと君の顔は立てるからさ。》
「志津馬さん!?」
通信が切れ彼が驚きの表情を見せていると、高木が声をかけた。
「今の、大人の女性の声みたいだったけど…」
「…2階の中央フロアだ、急ごう!!」
「え?あ、コナンくん!?」
コナンに指示を出した志津馬も1階南側のエスカレーター前までたどり着いたが、同じく人だかりで過密しているエスカレーターを見上げる。
『クロス式のエスカレーター…いけるか。』
大きく深呼吸をし手のひらで頬を強く叩くと、意を決したように彼女は駆け出した。
「高木くん!!今どこっ!?」
《それが今、コナン君と一緒に階段で2階に上がってるところで…》
「コナン君が一緒なの?っていうか、なんで2階なのよ!!犯人がいるのは3階で「オイ、あれ見ろよ!!」
「何あれ!?」
「エスカレーターの手すりの上走ってるぞ!?」
「はっ…!?」
佐藤が南側に向かう最中、周りのざわつく声に耳を傾けると下の階から物凄い速さでエスカレーターベルトの上を走り、折返し付近で腕の力だけで飛び移っていく人物の姿を目の当たりにする。
「嘘っ…!?」
『すいません、ちょーっと手危ないですよぉ…ほっ!!』
「な、何なのよ…あれ…!!」
あまり見たことのない光景に足が止まりそうになるも、こうもしてはいられないと彼女は再び3階を目指した。