01

そして、とうとうUSJに敵連合たちが襲撃しに来る日がやって来た。


(なんとか花吹の情報を聞き出さないと)


コスチュームに着替えながら考える。
敵連合の一人であるワープの個性を持つ黒霧に私たちがバラバラにされるとき、その混乱に乗じてなんとか別ワープの中に滑り込むという方法を取る。そして、ヴィランの一人から花吹に関する情報を聞き出す。
その為には、周りに誰もいない状況を作らなければならない。黒霧のワープがどのように繋がっているのかは分からないが、仮に誰かと一緒に飛ばされたとしてもなんとか一人にならなくては。


「なまえ?どうしたの、怖い顔して」
「御影、」


ハッとして顔を上げると、御影はもう着替え終わっていた。じーっとファスナーを閉めて準備はばっちりのようだ。


「ちょっと緊張しちゃって。今回は救助訓練だし、前の対人戦闘とはまた違うから」
「だねえ。実際、ヒーロー活動の中だと救助にあたる場面ってすごく多いもんね。私も緊張してきたなあ」


表情を笑顔に戻しながら、何でもないとかぶりをふる。緊張が顔に現れるなんて駄目だ。私がやっていることは、先生にだってばれるわけにはいかないのだから。
二人で集合場所へ行き、用意されたバスに乗り込む(皆を二列に並ばせる飯田くんは、今も昔も歪みなく飯田くんだなと思った)。御影と並んで座った席には、切島くんと梅雨ちゃん、緑谷くんに砂藤くんが向かい側に座っていた。「なあ、」


「苗字の個性ってワープだったんだな!体力測定の時に個性使ってなかったから、どんなだろうって思ってたら」


切島くんの言葉に、梅雨ちゃんも頷く。


「とっても珍しい個性よね。遅刻してもすぐに移動できたりしそう」
「いやー、移動できる距離は今のところあまり遠くは無理なんだ。それに、全く行ったことがない場所への移動もできないし」
「自分以外の人間も移動させたりできるの?訓練の時、核に触ろうとしたたよね?」


実際には訓練によってまあまあ遠い所にまで移動できるようになったのだが、それも隠す。一年生になったばかりなのに個性がばりばり使えるなんて変だからだ。
身体を伸ばして砂籐くんの隣からひょいと顔を出してきた美奈ちゃんにも答える。


「うん、一応はね。でも重さとかにもよるなあ。私に直接触っている相手じゃないとだめだから、運べる人の数もせいぜい二人くらいって感じで」
「でも、それにしたってとても利点の多い個性だよね。サイドキックとして他のヒーローの加勢にもあたれるし、今回の災害救助でも重傷者をすぐに運べたりするし」


緑谷くんは相変わらずヒーロー関連のこととなると饒舌だ。あまり女の子と話すのは得意ではないイメージがあったけど、好きなことには情熱的なんだなと思う。一生懸命に話す緑谷くんに、後方の座席から「おいうるせぇぞクソナード!!!」怒号が飛ぶ。


「爆豪くん?緑谷くんて彼とはあまり仲良くないの?」
「うーん…僕ら、幼馴染なんだけどね、ちょっと色々あってさ…。あ、村田さんの個性も凄くかっこいいよね。見た目にもインパクトあるし、拘束できるかた対ヴィランの時にも凄く役立ちそう。訓練が進めばきっともっと伸ばせる距離も広がるだろうしー」
「おいだからペラペラうっせえぞクソデク!!!」
「ひぇっ」
(ほんとにこの頃の爆豪くんて尖ってるよなあ…)


相変わらずな様子の爆豪くんに思わず苦笑してしまう。緑谷くんはしょぼんとしながら、「ごめんね」と申し訳なさそうに謝った。

「ううん、いいよ。緑谷くんていつも授業熱心に受けてるよね」
「うん、…僕、雄英に入学してヒーローになることが昔からの夢だったんだ。だから毎日ここで授業が受けられることとか、本当に嬉しいんだ」


そう言った緑谷君の笑顔は、見ているこっちの気持ちが洗われるほど清々しいものだった。七年後の世界ではオールマイトの後を継ぐように彼が日本のトップヒーローの一人となっている。それを知っている分、今の彼の言葉にも感慨深いものを感じた。
そして、そうこうしている内に私たちを乗せたバスは目的の地へとたどり着いた。「さあ、皆着いたぞ!」学級委員となった飯田くんのキビキビとした案内でバスから降りながら、目の前に広がるUSJを見る。