「ッ、!!!」
ずり、と滑りかけた足に、咄嗟にワープで後ろへと下がる。辺りを見渡せばぼろぼろの部屋。倒壊ゾーンだ。視線を落とせば、私が落ちてきた床は大きく抉れているのが眼下に見えた。顔を上げると、切島くんと爆豪くんの姿が視界に飛び込んでくる。交戦中だ。ヴィランの一人の攻撃を回避した切島くんが、バッと後ろを振り返って大きな声で叫ぶ。
「苗字、ここのヴィランは俺と爆豪で片付ける!!!お前はワープで学校戻って先生たちにこのこと報告しろ!!!」
「切島くん!!」
「っせぇ喋んなとっとと行けボケ!!!」
抉れる壁。吹き飛んでくる破片。飛び散るガラス。それらかが二人の身体に細かな傷をつけていく。だが、足元には既に複数のヴィランが倒れていた。今回、私たち生徒に宛がわれたヴィランは三下の所詮はチンピラ達だ。皆を殺すことは奴らにはできない。それに、この二人がちゃんと戻ってくることを私は知っている。
うん、と頷いて、後ろへと飛んで私の方へも向かってきた攻撃を躱す。「分かった!!!」
「必ず、助けを呼んでくるから!!!二人とも、お願いします!!」
「ああ、任せとけ!!!」
切島くんがこっちを振り返って笑ってくれる。切島くんは優しくて強い。こんな時でもクラスメイトのことを心配する。(ちなみに爆豪くんはヴィランの一人に爆破を浴びせていた。派手に後方の壁へと叩きつけられるのを見ながら、過去でも相変わらず容赦がない爆豪くんだと場違いにも感心した)
ーヴィランが、私へと向かってきた。右手が刀になっている。走ってくる速度は速いといって良いものだったが、その動きはあまりにも正直すぎるというか、短絡的というか、私を倒そうという気があるのかと正直思う。頭の片隅でそんなことを思うなんて、自分も七年で成長したのかとふと感じ入る。
そしてドアへ向かって走り出す。
「オイこら待てよ、女!!!」
部屋のドアを潜り抜け、先へと走りこむ。追ってきた刀のヴィランは、私が行った先の部屋が行き止まりであることを分かって嫌な笑みを浮かべた。まるで獲物を追い詰めた動物のような尖った牙が、その口元から覗いた。ドアがひとつしか無いからだ。私が、自ら逃げ場を失ってしまった馬鹿な子供にでも見えているのだろう。だがこっちは子供じゃない。見た目は十五歳だが。
「教師たちは呼ばせねぇよ!!!」
どん、と飛び上がって掴みかかってくる。同時に頭上めがけて振り下ろされた刀の右手。その腕へと私は自分の手を伸ばした。がっしりと掴んで、そのまま右足の膝でヴィランの腹を思いっきり蹴り上げた。
「ぐぁっ!!!?」
突然の攻撃にくぐもった悲鳴をあげたヴィランをしっかりと掴み、花吹のことを聞き出すべく部屋の外へとワープした。