「あーあ来ちゃったな…ゲームオーバーだ。帰って出直すか黒霧…、ぐっ!!!」
施設へとやって来た先生たちを見て、はあとため息を吐いた死柄木をスナイプ先生の銃弾が襲った。正確に飛んでくる銃弾の雨の中で、黒霧のワープ体へと身体を沈ませていく死柄木。逃げる気だ。
「、13号先生…!」
だが、そうはさせないと言わんばかりに身体がぼろぼろになってしまった13号先生が、地面に這いつくばりながらも死柄木の身体を"ブラックホール"の個性で呑み込もうとしている。
段々と小さくなっていくワープの中で、死柄木のあの虚ろな大きな目玉が見えた。呪いの言葉を吐くように、色の無い唇が開かれる。
「今度は殺すぞ。平和の象徴、オールマイト」
その言葉を残して、黒霧のワープ体は消え去った。
あとに残ったのは小さな風だけで、辺りは彼らが来る前と何ら変わらない静寂に包まれた。−終わったのだ。
ひとまずこの襲撃事件を無事に乗り越えられたことにーいや、負傷者はいるのだが、それでも当初の目的だったヴィランから情報を聞き出すことにも成功し、やり過ごせたことに心から安心した。
肩を貸していた御影が、ほっとした顔で私を見上げる。緊張から解き放たれたかのように緩んだ白い頬には、破片で切ったのか知らぬ間に傷が出来ていた。
「なまえ、…私たち、助かったんだね」
「うん、そうだよ御影」
「二人とも、大丈夫やったー、って御影ちゃん、その怪我…!」
「、お茶子ちゃん!御影を一緒に運ぶの手伝ってもらえる?肩を大きく斬ってるみたいで」
「分かった!」
力強く頷いたお茶子ちゃんに、御影の左半分の身体を支えてもらう。お茶子ちゃんに抱えてもらうと、御影を支えていた肩がすっと軽くなった。私の肩口に顔を寄せながら、御影は小さくごめんね、と言った。
「ごめん、二人とも。迷惑かけて」
「そんなことないよ!誰もあんなことになるなんて思ってなかったんだから。すぐにリカバリーガールの所で直してもらおうね」
「おーい、二人とも大丈夫か!!?」
走ってきたのは切島くんだった。私があの倒壊地区を模したビルから出た後、爆豪くんと一緒にヴィランの戦闘に当たっていた彼は、大きな怪我はないもののやはり体の所をどころを小さく怪我してしまっている。私は彼に先生たちを呼びに行くように言われたが、飯田くんが連れて来てくれることを覚えていたから行かなかった。だが、彼はそんなことは知らないのだ。顔を上げて、近づいてきた切島くんに言う。
「ごめん、切島くん。先生たちを呼んでくるように頼まれてたのに、私行けなかったんだ。あの後、他のヴィランと戦闘状態になってしまって…」
「いいってそんなの!無事なのが一番なんだから。俺、村田運ぶ担架頼んでくるわ!」
「気にすんなよ!」と言った切島くんは、急いでまた来た道を戻っていった。切島くんのこういうところ、学生時代から憧れていたんだっけ、と思い出す。さっぱりした、本当に気性の良い男の子だなあと、誰の目線なのかそんなことまで思ってしまう。
皆の元へと合流し、先生方に御影のことを伝えて引き渡す。リカバリーガールの元へと運んで行かれた御影を見送り
、胸を撫でおろした。