07

 政府関係者しか入ることができない資料室は、厳重な警備体制が敷かれてあった。きっと、私のようなワープの個性への対策も万全なのだろう。下手に扉を個性で抜けたら警報機が作動してしまう恐れがある。

 どうやって入ったものか。誰かがこの扉を通るのを待ち、資料室のパスワードを盗むべきなのか。だが、私の個性はワープするその一瞬の間は人の視界から消えることができるが、姿そのものを隠す効果はない。自分の服装を見下ろす。喪服から私服へと着替えた姿は、雄英の学生だとばれるのを防ぐためだ。こんなところを制服姿の学生がふらついてるのを見つかったらどうなるか、考えると冷や汗が流れた。
 苦心しているときだった。


 「やぁ!お困りのようだね」

 「ッ、!」


 突然かけられた声に思わず飛び上がりそうになるも、後ろを振り向いてその声の主を捉える。その一連の動きに、「君は未来でも頑張ってるんだね」と、感心するようにうんうんと頷くのは根津校長だった。


 「こ、校長先生…!」
 「こっちの時代ではまだ"初めまして"なのかな?改めて、雄英高校校長の根津だよ!用事で来てみたら君の姿がここにあったんで来てみたよ!まぁ君がこの時間、ここにいるのは分かっていたんだけどね!」
 

 動揺する私にぺらぺらと流れるように言った校長先生。その言葉がひっかかる。"ここにいるのを分かっていた"?それはどういう意味なのだろうか。それに、先ほど"未来"と口にしなかったか?


 「先生、どうして、」
 「その話は後さ!ここにいるのが見つかったらお互いに不味いからね。まずは君のワープの個性で、どこか話せる場所まで連れて行ってくれたまえ」
 

 ぴ、と人差し指でお口チャックのようなジェスチャーをしてみせた校長先生に、喉まで出かけていた質問をいったん呑み込む。そして先生と一緒に、外へ出るべくワープの個性を使った。