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何故か槍の男はサンソンの剣をいなした後、そのまま引いていった。
私は座り込んだまま、何もせず、ただジッと見ていることしかできなかった。
彼は私の元に近寄り穏やかにこちらを見る。自分が息を止めていることに気づいて、どうやって息をすればいいのか分からなくなった。
吸えばいいのか、吐けばいいのか、根本的なことが分からない。

「マスター、ゆっくり息を吐いて」

サンソンが私の背中に手を当て、ゆっくりと撫でてくる。そしてやっと安心して息を吐き出すことができた。

「ごめん、なさい……」
「……帰りましょう、マスター。ここでは落ち着けない」

サンソンに促され立ち上がる。ああ、なんてことだ……

「聖杯戦争っておっかない……」

足はまだ震えている。怖かった。本当に死ぬかと思った。

「サ……アサシン、ありがとう」

誰が聞いているか分からない。だから真名は伏せておくべきだろう。


「マスター。聖杯戦争をやめますか?」


サンソンは静かに私を見据えて言う。

「あなたは令呪を放棄してしまえば平和な日常に戻れます。苦しむ必要も、殺されそうになることも、無くなります。それに……」
今のでもう願いは叶ったでしょう?

今の……槍の人は聖杯戦争の他の人が召喚した英霊。
確かに、今の出来事で私は聖杯戦争を体験するという願いは叶っただろう。

「私は……私は最後まで令呪は捨てない……最後まで生き残る……」

足は震えたままでかっこ悪いけど、闘うと、生き残ると決めた


「それに、私は参加している英霊をまだ全員見ていない」


どうしようもなく怖いのに、なぜか口角は上がっている
サンソンは

「帰りましょう。このままでは風邪をひいてしまう」

そう言って、笑った


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