名前

「前から思ってたんだが、寺島の武器って何て言う名称なんだ?棍棒?」

最近仲良くなった奥村君は私から1.5メートルくらい離れた位置から質問してきた。
そんな質問に私は仕方なく答える。


「棒」


「…え?」

聞き返すのも無理はない。
私の武器の名称は…

「棒」

である。

奥村君が戸惑っているが本当のことなのだから何ともいえない。

頭に?を何個も浮かべた奥村君に武器の特性と名称についてを丁寧かつ分かり易く説明してやった。
私偉い。

奥村君は暫く静かに悩んでいたが、顔を輝かせて話し出した。
さっきより0.5メートルも距離が遠くなっているがあえて指摘しない。


「名前つければいいじゃねえか!」


奥村君は名案であると言い切った。

「ふむ…名前か…」

名前、名前…


「ピーチぼんぼん棒、とかどうだろう?」


昔読んだ漫画にそんな名称が出てきたのを思い出し言うと奥村君がブフォッと噴き出した。
解せぬ

「ピーチぼんぼん棒とか語呂良いし、なんか強そうな名前だと思うんだが。」
「面白いだけじゃねえかよ」

早々に却下された。

そして奥村君、さっきから20センチぐらい後退しているぞ。
あえて言わないが…


「ルーシーとか…?」


ぽつりと私が言った言葉に奥村君がすかさずつっこむ。

「外国人かよ!」

「美人そうだろ!」

「…」

奥村君は呆れて言葉も出ないようだった。



結局付けた名前を呼ぶことは一度も無く、常に名称は「棒」だった。

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