デルタの番犬


テロリスト

「ごめん直樹、逃げられた。なんか仲間がいるみたいなんだ。少なくとも二人。奴ら新しい車に乗ってる。ナンバーはE6871なんだけど」

 携帯電話を片手にあたりを見回しながら祐未は言った。電話の向う側にいるのは弟の直樹だ。

『ナンバーわかればなんとかなるよ。どっちに向かったかわかる?』

「ワシントンのほう」

『そっか。一応検問は敷いてもらってるけど……今防犯カメラの映像で該当者を探してたら、結構まずいものがみつかってさ』

「どうしたんだ?」

 祐未の疑問に答える少年の声はどこか重く、怠そうだ。

『施設に入ったあの二人組……元アメリカ軍特殊部隊所属みたいなんだ』
*前 - 8 -次#
しおりを挟む
目次
戻る
[しおり一覧]
LongGoodbye