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「天竜人を怒らせた〜〜〜〜!!」
会場内はいよいよ大混乱。
仲間を殴り飛ばされた“世界貴族”は怒り狂い、銃を手当たり次第に撃ちまくると、待ってましたとばかりにモンキー・D・ルフィの仲間たちと見られる人物たちが応戦を始める。
奥からゾロゾロと衛兵が出てきても何のその。
「目にものを見せてやれ!!」
怒りに任せた“世界貴族”が叫ぶと、観客たちは押し合いへし合い外に逃げていく。
溢れかえる叫び声や破壊音の中、さらに鯉のぼり級の大きな魚が天井から飛び込んできて人が落ちてくる。
瞬きひとつする間に輪をかけて騒がしくなっていく会場内。
「…ー海軍ならもう来てるぞ麦わら屋」
「何だお前………何だそのクマ」
先生は呑気にモンキー・D・ルフィと接触。
「海軍ならオークションが始まる前からずっとこの会場を取り囲んでる」
「えェ!?本当か!?」
待て、それはこちらも聞き捨てならない。
海軍がここを取り囲んでる?
逃げなきゃじゃないか。何してるのみんな。
「しまった!ケイミーちゃんが!」
板上に急激に注目が集まる。
さっきの人魚が、“世界貴族”の1人に銃を向けられていた。
つい、反射的に立ち上がってしまうが、先生が腕を軽く持ち上げてそれ以上の動きを制する。
「さァ“魚”!死ぬアマス!!」
ああ、もうダメだ。
銃を構えた“世界貴族”。
が、刹那、がくんと膝を折る。
奥から笑いながら現れたのはお爺さんと…巨人?
「…ふむ」
ドクン。
次に膝を折ったのは私だった。
「名前!?」
ドサリと椅子に倒れるように座り込む。
ただ意識が飛んだのは一瞬で、頭の痛みを感じながらもすぐに頭が覚醒してきた。
「大丈夫!?」
何ともなさそうなベポさんが横でアワアワしている。
先生も、他のみんなも問題なさそうだ。
「はい、何とか」
あたりを見渡せば、あれだけいた衛兵たちが全て意識を失ってその場に倒れている。
今のはなに…?
「悪かったなキミら…見物の海賊だったか…今のを難なく持ち堪えるとは半端者ではなさそうだな。お嬢さんもすまないね。できる限り除いたつもりだったが」
にこりと笑いかけてくるお爺さん。
「まさかこんな大物にここで出会うとは…」
先生は知った顔のようだ。
ただのお爺さん…にはさすがにみえないけど、こんな離れた距離から一体何をしたのか…
『犯人は速やかにロズワード一家を解放しなさい!!』
『じき大将が到着する!早々に降伏することをすすめる!!』
『どうなっても知らんぞ!!ルーキー共!!』
外からは恐らく海軍による降伏を迫る声が聞こえてくる。
そうだ、今囲まれてたんだった。
ルーキー共…ということは完全に共犯者だと思われているようだ。
どう切り抜けるのか…後ろにいた、先ほど先生が中指立てて喧嘩を売っていた怖い顔の人が歩き出す。
「表の掃除はしといてやるから安心しな」
かっちーん。
音が聞こえた気がして、先生を振り返る。
あ、これやばい。
完全に挑発に乗せられた先生は、同じく乗せられたモンキー・D・ルフィと共に外に出ていった。
「あーあーキャプテンったら」
「自分だって挑発するくせにすーぐ乗せられんだから」
「え、ちょ、どうするんですか?」
「ま、いいよ止めたって止まんないから」
「のんびり着いてこう」
「のんびりって…」
「そこの麗しいお姉さ〜〜〜ん!!」
立ち上がるみんなに続こうとすると、通路の向こうから高速でくねくね動きながら駆け寄ってくる金髪スーツのお兄さん。
目の前で華麗に足を止め、手を差し出される。いや誰。
「お手をどうぞ、お姫様」
「え…っと〜」
「おい!名前に触るなよ」
ベポさんが牙を見せて唸り、前に立ちはだかった。
「何だとこのクマ野郎、俺は今この麗しのレディーと会話しているんだそこを退け!ところで名前さんと仰るんだね名前まで素敵だー!!」
「邪魔なクマ野郎で…ごめんなさい」
「え、ベポさん」
変わらずくねくねし続けるお兄さんに、大したこと言われてないのに物凄く落ち込むベポさん。
打たれ弱いなんてもんじゃない。
「えっと…お兄さん?」
「お兄さんだなんてそんな!俺のことはサンジとお呼びくださいマドモアゼル」
マドモアゼルなんて呼ばれたの人生で初めてだわ…
若干引いている私を置いてけぼりにして、手を取ったまま愛を囁き続けるサンジさん。
「今ここで出会ったのは運命の悪戯か…たとえ敵同士でも俺はこのときめきを止めることができない…!」
「あ、あのサンジ…さん?」
「ああ!今俺の名を呼んでくれたね!」
聞く耳持ってなさすぎるでしょ。
この人も逃げないといけないんじゃないの…!?
「お取り込み中失礼、お前あっちと一緒に行かないといけないんじゃねえのか」
「ペンギンさん」
「何だテメェ野郎はお呼びじゃねぇんだよ!ってコラー!」
ペンギンさんが間に入ってくれた。
あっち、と指さされた方には今まさにこの建物を出て行こうとする人たちが。
反応を見るに、どうやらサンジさんの仲間のようだ。
「どうやらお別れの時間のようだね…名前さん、どうか俺の名を忘れないでいてほしい」
「いいからとっとと行けよ」
「きっとまたどこかで会おうねー!アイラーブユ〜〜〜!!!」
ペンギンさんの冷静なツッコミをよそに、こちらに向かってハートを飛ばしまくりながら仲間の方に駆けていくサンジさん。
嵐のような人だ…
「大丈夫か?何もされてねぇ?」
「ありがとうございますペンギンさん。特に何も。ていうか誰だったのかもよく…」
「あれもモンキー・D・ルフィの仲間。海賊だ」
それはそれは…独特なお仲間をお持ちで…
みんなと並んで外に出れば、建物周囲は瓦礫に埋もれ、最早壊滅状態。
先生は一緒に出て行った2人と並び(モンキー・D・ルフィは何やら様子がおかしいが)、特に怪我もなさそうだ。
ホッとしたのも束の間、
「海賊共を討ち取れ〜〜〜〜!!」
次から次へと海軍が押し寄せてくる。歩き出した先生に、私たちも続く。
「ベポ」
「アイアイキャプテン!!」
ベポさんが前に出て先生の周りの敵を蹴散らしていく。
「アイアイアイアイ〜〜〜〜!!」
ベポさんって強い…!
見て覚えようなどと目論むが、動きが早すぎて全然目で追えない。
とりあえず足だけは引っ張るまい。
応戦したところでまず間違いなく敵わないので私は逃げに徹しよう。
人の間をすいすいすり抜け、ベポさんに教えてもらった護身術の基本を生かす。
相手をよく見て、凶器からは決して目を逸らさずに。
そうするうちに人混みを抜けた。
橋を渡ると、後から追いついてきたベポさんと…誰か分からないが大きな人が橋を壊す。
「お前新入りだからおれの下ね!」
「奴隷でなきゃ何でもいい…」
…あの人仲間になるのか。
しかし一難去ってまた一難。
逃げた先には先ほどの怖い顔の人と…
「何で七武海がこんな所に……!」
シチブカイ、って名前だろうか。
熊の耳がついた帽子を被った大きな人が、先生の名を呟く。
「トラファルガー・ロー……!」
「おれの名を知ってんのか……!」
突如、シチブカイがビームを放った。
すぐ後ろの樹から爆煙が上がる。
後ろから段々と海兵たちもやってきた。
「先生、もうこれ…!」
「狼狽えるな」
シチブカイの前にみんなが立ちはだかる。
「そこ通して貰うぞ」
先生の手のひらから、“ROOM”が広がった。
ーーー