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「…ーーー諤・謔」です!」
同僚の声にハッとする。
反射で手元を見れば、同僚数名縺ョ謇九↓繧医▲縺ヲストレッチャー縺ォ荵励○繧峨l、足早に移動しているところだった。
霞がかかったような頭の中を瞬時にクリアにさせる緊迫した空気。
少し頭を巡らせれば、最後の記憶は莨第?螳、縺ァ隕九◆諢帶?貂ヲ蟾サ縺上ラ繝ゥ繝槭〒邨ゅo縺」縺ヲ縺?◆縲。
……違う、私は…私、は…
……そこにいる。
あれは、私だ。
ストレッチャーに寝かされているのは患者ではなく私で。
ストレッチャーを動かすスタッフの中に私はいなくて。
つらつらと、私の今の状態が同僚の隣に並ぶ医師に告げられていく。
私を挟んだ反対側にいる同僚は、只管青白い顔で体を横たえた私に声をかけ続けていた。
声が聞こえない。
今にも泣き出しそうなのを堪えた声で叫ばれる、彼女の声が聞こえないのだ。
彼女の声だけが…
いや私の名前だけが…
名前を呼んでくれたらすぐにでも答えられるのに。
大袈裟だよと、起き上がってみせるのに。
なんで呼んでくれないの。
ああ、あの子、どういう声だったっけ。
私の名前って、何だっけーーー……
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「ーー名前!!」
バチッと、目の前で火花が散る。
それと同時に瞼を思い切り開ければ、大きな瞳にいっぱいの涙を湛えたナミさんが視界いっぱいに広がった。
少し視線を動かせば、モモくんやチョッパー先生、ブルックさんもいる。
「…ナ「よかったっ……!!」っう、」
「よかった意識が戻って…すごい汗だ、暑いか?氷枕とか持ってこようか?」
「……、いえ、」
倒れ込むようにして私を抱き締めるナミさんを支える。
今の夢、は…
……夢?
ほーっと長く嘆息するチョッパー先生に指摘されて初めて、全身の毛穴からどっと汗が噴き出していることに気がつく。
寝汗をかいた時の、肌に何かが張り付いているような不快感なんかはなく、目が覚めたたった今より出始めたのだということは分かるが何故こんな滝汗をかいているのかは分からない。
別段暑くもないし、果てしなく夢見…が悪かった事実は何となく記憶しているものの、目覚めた瞬間にはうっすら覚えていたそれも瞬く間に全て霧散してしまっていた。
思い出そうと脳を回転させてみても断片すら思い出すことができずに早々にして諦める。
「私…ところでどうしてたんでしょう」
「お前ジョーラに撃たれて意識失ってたんだよ!」
「ジョーラに…ジョーラ!?あいつどうなったんですかそういえば!?」
「ヨホホ、彼女ならここに」
先程まで私につけられていた海楼石の錠をつけられ、鎖でぐるぐる巻きになった上、何故か丸焦げ状態のジョーラが床に転がされている。
彼女は彼女でそんな状態でも意識があるようだ。
よく見れば、みんなの姿も元に戻っている。
ああ、私も普段の私だ。
「名前がああやって隙を作ってくれたお陰で何とか倒せたんだ!」
「せっしゃもいっぱつたたいてやったんでござる!ホネ吉にはすじがよいとほめられた!」
「そうだったんですね…モモくんも成敗してくれたんだね。ありがとう」
「ふふん!くるしゅうない!」
「何処か痛いとこはないか?弾は奇跡的に当たってなかったけど…」
「…ん、え?当たってなかった…?」
「あぁ。多分極限状態の中かなりの至近距離で銃声聞いたから脳が強制的にシャットダウンしたんだ。でも何しても全然意識戻んねぇから…もうどうしようかと思って…」
「もしあのままならローさんに合わせる顔がないですから…ま、元々顔ないんですけどね私」
ヨホホホーっと1人爆笑しているブルックさんの声をバックに、何だか非常に居た堪れない気持ちになった。
だって当たってもないのにそんな長々と意識飛ばすことある…!?
情けなさすぎるだろう。
急にナミさんが抱きついていた腕を緩め、私の肩を持つ。
その顔は影になり、よく見えず。
「……」
「…ナミ、さん?」
「……んのバカー!!」
「えっ」
そのまま肩を上下左右に揺さぶられまくる。
ま、また脳が揺れる…!
「ナミやめろー!また意識失っちまう!!」
チョッパー先生が間に入ってくれて何とか腕が離された。
顔を上げたナミさんと目が合う。
その頬は涙に濡れていた。
「あんたねぇ!もしかしていつもああなの!?」
「…ああ、とは」
「いつもあんな自己犠牲的なのかって聞いてんの!」
「さっきは必死で…」
「次あんな無謀なことしたらぶつわよ!!」
肩で息をし、涙をボロボロ零すナミさん。
その姿はいつかのイッカクさんと確かに重なった。
そうか、ナミさんにはずっと既視感というか、いい意味で安心感を感じていたけど彼女に似てるんだな。
「…もうしません。ナミさん、心配かけてごめんなさい」
「ほら、名前もこう言ってることだしナミも落ち着けって!」
「そうそう、今は仲間割れしている場合じゃないですし」
「…というと?」
「…さっきこいつが言ってたのよ…私たちは騙されてるって」
「え?」
上体を起こし、ジョーラを見下ろす。
私の視線に気づき、向こうもこちらを見返してきた。
「どういう、ことですか」
「だから若様は…七武海を辞めてなどいないんざます…!あーた達は見事罠にかかり!今頃上陸している仲間は全員うちのファミリーに捕まっている筈ざます!」
「え…!?」
もしかしてそれを知って先生はシーザーを回収しに来るように指示を?
「じ、じゃあ急いでグリーンビットに向かわないと…」
「今そっちに船を回してるとこなんだ!もうそろそろかな…」
「せっしゃが見てくるでござる!」
「あ、ダメですよモモの助さん1人で動いては!」
部屋を出ていくモモくんとブルックさん。
後に続こうと立ち上がった。
「歩けるの?」
「はい、もう大丈夫です」
そっと歩みを進めるが、ふらつきなどはない。大丈夫だ。
ジョーラを引き摺って動かすチョッパー先生の後に続き、ナミさんと並んで外に出た。
「…あれ、」
「島影っぽいの見えますね…」
「トラ男は見える?」
「うーん霧でよくわからねェ…変わった森が見えるけど」
チョッパー先生が双眼鏡で島影を観察している隣に並ぶ。
…双眼鏡で分からないのに肉眼で見えるはずないか。
「で、私達がシーザー受け取ってどうなるの?」
「ドフラミンゴに狙われますね…え!?コワイ!」
1人ノリツッコミをするブルックさんだがまさにその通りで。
「私たちにシーザーを引き渡す」ということはそのまま追ってくるドフラミンゴに奪われないように逃げろということだろう。
なかなか無茶を言うものだ…
ドスン!
島影を眺めていると、突如として船が何かに激突されたように大きく横揺れする。
「うわあああ!!」
「何!?なんなの!?」
「海に何かいるぞ!」
1匹…2匹…それどころじゃない。
次々姿を表す黒い巨大な生き物達。
まさか海王類?角生えてるけど…
ただの魚には到底見えない凶悪な表情をしている。
「とと…闘魚の群れざます〜〜〜!島に近づきすぎたのざます!」
ジョーラが青ざめ、叫び声を上げる。
「何それ!?」
「軍艦も沈める“殺人魚”ざますわよォ!」
「「「え〜〜〜!!?」」」
魚なのかあれらは!
群れを成し、次から次へと襲いかかってくる獰猛な巨大魚たち。
海の中から攻撃してくるから追い払うに追い払えず、ただ騒ぐことしかできない。