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森を抜け切った先では動物達ー…ミンク族がそちらこちらに倒れていた。
誰もが傷つき、私たちの気配に気付きながらも顔も上げられず苦しんでいる。
思わず一番近くに臥せっているアライグマのミンクに駆け寄った。
得体は知れないので一応手は触れず、目視で状態を確認するが顔が上げられないほどの怪我ではないような…
「…これはひどい」
「みんなシーザーの兵器で!?」
「!?」
ナミさんの言葉に顔を上げる。
聞けば、シーザーが作成して“ジョーカー”を通じて売りに出された毒ガス兵器がここで使用されたのだと。
成程、効果は折り紙付きというわけだ。
皮肉めいたそんな言葉が思い浮かび、手のひらを握り締める。
だがそういう訳であるのならぼやぼやしている場合ではない。
先程のアライグマのミンクに手を伸ばす。
「名前さん、あまり近付かない方が!」
「でも毒ガスならすぐにでも治療を開始しないと…!」
「その者に触れるな!」
止めるブルックさんを振り返らずに返事をしてその小さな患者を抱え上げようとすると、上空から鋭い声が降ってきた。
「ゆティアらもジャックの仲間か!」
「、」
ガキィン!
声の主も確認出来ぬまま、アライグマのミンクに覆いかぶさるようにその場に伏せると、すぐ背後で金属音が響いた。
何者かの奇襲をナミさんが防いでくれたようだ。
「「ナミさん!」」
「大丈夫!毒で弱ってる…!」
すぐさまナミさんを振り返るが、彼女越しに見えた対峙する剣士は確かに立っているのもやっとの状態で。
呻き声を吐き、覚束ない足取りのまま只管に剣を構えて立ち向かってくる相手を、ナミさんがいとも簡単に拘束する。
が、その手には火のついた爆薬。
一気に緊迫するその場で、ナミさんに下敷きにされている犬のミンクが涙ながらに声を張り上げた。
「ゆティアらの捜し人などいない!千年の歴史あるこの国を!……!どこまで壊せば気が済むのだ!!」
やはり襲撃されていたんだ、この国は…
犯人はどう考えたとて先程の悪人面だろう。
たかが人探しの為に毒ガスまで使って国を破壊するなんて…
必死の訴えを聞きながらも刺激しないよう黙っていると、先程悪人面に追われていたリスのミンクが現れた。
「ワンダさん!私そティアらに助けられたの!」
「トリスタン…」
「ワンダ、そガラらはジャックとは関係ない…!」
どこから現れたのか体の大きな豹のミンクが現れて爆薬の火をもみ消すと状況を徐々に飲み込めてきたのか、犬のミンクが辺りを見渡しだす。
「何してるんだお前達!」
チョッパー先生が私の背後からシーザーを連れ、憤ったように声を上げた。
その言葉に泣き崩れる犬のミンクを気遣わしげに見つめた後、仕事モードにスイッチを入れてチョッパー先生に向く。
「チョッパー先生、」
「急ぐぞ名前、手伝ってくれるか?」
「勿論です!」
それからサンジさん達にその場を任せ、ナースだというリスのミンクの案内で病院へ。
チョッパー先生とシーザーで解毒薬の量産を急ピッチで進め、できたところから受け取って2人で順番に投与していく。
他にも扱える人がいればいいが、人手を探すよりも今は目の前で毒に苦しむミンク族を助ける方が先だ。
無事な人達がいるのなら次第に集まってくるはず。
「名前さん!奥に倒れてた奴ら運んできたがどうすりゃいい!?」
「ありがとうございます!ガスを吸ってしまった人最優先でここに集めてください!怪我も順番に診ていきますが…、!」
ライオンのミンクに静注しながら、サンジさんの問いかけに声を上げて返していると、不意に当の彼に腕を掴まれた。
「どうしました?痛みますか?」
「…っ我々は後で良い…まずは…あのお方を…あのお2人を…!」
震える指で差された先は広場の真ん中、サンジさん達によって磔台から降ろされたばかりの他のミンク達とは比べ物にならないほど大きな犬と猫のミンク。
みるからにこの国の首長のようだ。
「あのお2人だけは…決して死なせてはならんのだ…!ッグフッ、」
「分かりました、この次はあのお2人を必ず」
「頼む…すまない…っ」
横になったままでも確かに頭を下げるライオンのミンクから針を抜き、約束通りその2人の元へ。