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その感覚だけは忘れてはならぬと強く思い直し、紙束をぺらりと捲ると今度はルフィさんの顔が。
その後ろにゾロさん、ロビンさんと麦わらの一味の面々が続いていく。

ルフィさん以外も賞金首であったことに関しては今更驚きはしない。
そんな気はしていた。
まぁまさかナミさんとチョッパー先生まで懸賞金がかけられていたとは思わなかったけれど…
しかもチョッパー先生は100ベリー。
最早かける意味はあるのだろうか。

また1枚捲ればそこには目がハート状態のサンジさんの顔が。
いつ撮られたんだ、これ。
金額は1億7700万ベリーで…
ん?「ALIVE ONLY」…?
他のものはどれもお馴染みの「DEAD OR ALIVE」表記だが、何故かサンジさんだけ「生捕りのみ」。
今までそう沢山の手配書を見てきたわけではないが、こんな表記は初めて見た。
世にとって悪である海賊を捕らえるのに生捕りしか許されないなんてことあるのか…?

「これってサンジさん達は…」
「この後に見せるつもりでまだ見せてはいない」
「ちょっと、私行ってきます。いいですか?」
「ああ、構わないが…」

麦わらの一味全員分の手配書を持ち、首を傾げるみんなの輪から外れる。
私が知らないうちに見ているかもしれないけれど、もしまだ見ていないなら知らせておいて悪いことはないだろう。

もう少しで日も落ち切るせいか静まったクラウ都を通り、先程別れた「右腹の砦」に向かおうとまた森に入っていく。
こっちの方だった筈なんだけど…
あ、そこにいるの…

「ネコマムシの旦那さん…?意識戻ったんですか!?」
「何じゃあ?ゆガラは」

緩慢な動作で振り返ったのはこの国の猫の王、ネコマムシの旦那さん。
まだまだ絶対安静だというのに好き勝手動き回ったのか、包帯は緩み、痛々しい傷がところどころ露わになっている。

「私はハートの海賊団の看護師の苗字名前と申します、が、そうでなくて、」
「おぉ、ゆガラがベポ達の待ちよった仲間か!話は聞いちゅうぜよ!」

人相の悪さによらず人の良さそうな笑顔を浮かべた彼に重量級のガルチューをかまされ、思わず尻餅をつく。
ネコマムシの旦那さんは上機嫌にゴロニャニャと笑い声を上げ、私を抱え起こしてくれた。

「ゆガラがおるちゅうことはようやく全員揃ったがか?」
「いえまだもう1人…て違いますまだ歩き回ったらダメですよ!」
「何じゃ、そん話か。わしが歩きたいき歩いちゅう」
「大怪我してからまだ半月も経ってないんですよ!?」
「かまんちやかまんちや。それより怪しい奴見とらんか」
「…怪しい奴、ですか?」

歩き回ったことを咎められて無理やり話を変えられたような気がしなくもなかったが詳細を聞いてみると、何でも彼がここまで歩いてくる間にペコムズさんという方が血塗れで倒れていたのだとか。
…え、それその人そのまま放置してきたりしてないよね。

「見ていないですが…」
「ふむ…ちょいと見回りするけ、わしに付き合え。こん暗い中客人を1人で歩かせるわけにもいかん」

くるりと背を向け歩き出すネコマムシの旦那さんを慌てて追いかける。
早くナミさん達のところに行きたいが、何者かが隠れているかもしれないことを知ってしまった暗い森の中を1人で歩く勇気はない。
し、大怪我人である彼が止まる気がないのなら少なくともついているべきだ。

のしのしと進んでいく彼に置いていかれないよう、小走りで着いていくと両脇の森からワンダさん達も現れた。

「旦那!…と、名前?何故ここに」
「いや、なんか成り行きで」
「名前も旦那を止めてくれ!まだ歩ける体じゃない!」
「私もそれは何度も言ってるんですけど…」

現れたミンク達が口々にネコマムシの旦那さんを引き止めようとしても、彼は少しも気に留めず歩き続ける。
が、そのうち不意に足を止めた。

「おいゆガラ…何者ぜよ」