とあるドMは神を喰らう - deer

青の名は

「おい、お前新型だろ」

松葉杖をつきながらエントランスを通ればそう声をかけられて止められる。見覚えのない顔だが、腕輪をしているため神機使いなのだろうと思い、はい。日口エンと申します、と頭を下げた。

「お前のそれ死神のせいだろ?」

小川シュンと名乗った男にそう言われ首を傾げる。さっきも聞いたが、死神とは一体なんなのだろうか。

「失礼ですが死神とは?」

「ソーマだよソーマ、あのフード被ったやつだ」

あの青い方か。どうして赤髪から強い男と称される彼が死神と呼ばれているのだろうか。

「あいつと組んだやつは死ぬんだよ」

「私はこうして生きておりますが」

任務を共にするだけで死ぬとは一体どんな男なのか。死にたがりだと勘違いされただけなのでフードの男についてはよく分からなかった。

「でも大怪我してんじゃねえか」

ああ、なるほど。この怪我をフードの男のせいにしているのか。なんということだ、むしろ私の趣味のようなものだ。この甘い痛みがどんなに心地良いか語ってやりたいところであるが、私の口は別の言葉を吐き出した。

「先日はコクーンメイデンのレーザーで腹に穴が空き、オウガテイルに薙ぎ払われ肋骨を折りましたし、先々日はオウガテイルの針で左腕に腿を負傷しました」

そう言って怪我が治ったところで消えることのなかった傷跡を晒せば、顔を赤くした男に、だからなんだってんだよ!?と怒鳴られる。どこでどう怒らせたのかは分からなかったが、これはこれで中々美味しいプレイだな、と思いながら口を開く。

「つまり私は弱いのです。実際にアラガミと対峙するのはまだ三回目でして、こうして怪我も絶えません。この骨折も私が弱いことが原因であり、死神とやらは関係無いのです」

というか、どちらかというとあの赤髪の方が原因である。フードはむしろあの男を助けようとしたように見えた。

「おーい!シュン!時間だぞ!」

チッ、と舌打ちを残してその声の方に去って行った男に軽く頭を下げて歩き出す。件の青いフードが視界に入ったような気がしたが、気のせいだろうとエレベーターに乗り込んだ。

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