とあるドMは神を喰らう - deer

涙の数だけ強くなれるのは花だけだ

「彼女はまるで、そう!不死鳥のようだった!」

オウガテイルの奇襲から庇った男がそう声を上げる。少し前まで私は化け物と呼ばれていたはずなのだが、気づいた時には不死鳥と呼ばれるようになっていた。「第一部隊の不死鳥」そんな称号を背に乗せて、最近では当たり前となった単独任務へと繰り出す。
私の任務情報が支部長殿に操作されている以上、私と共に任務へ行くのはあまりに危険だ。それに気づいてからはなるべくパパ以外の人とは任務に行かないように心掛けていた。
幸いなことに、私は元々化け物上がりの不死鳥であるため、好んで任務を共にする者はいない。先日のヴァジュラを一人で討伐したことにより、実力もあると見なされたようで、単独任務を反対する者はいなかった。

「もう一つ約束だ」

そう言ったパパの言葉の通り、怪我をしないようにその場を飛び退く。シユウの火球を避けながら側面に周り飛び上がる。そのまま全体重を乗せて頭を斬れば、声を上げてその場にうずくまった。その隙に捕喰してバースト状態になる。抉れている頭に手に入れたばかりのアラガミバレットを撃ち込めば、大きな声と共に地面へと倒れ込んだ。
力尽きたシユウの素材を回収して再び歩き出す。クアドリガにグボログボロ、そしてシユウを沈黙させたが、この任務の目標はオウガテイルの堕天種だけだったはずだ。やはり情報操作されているな、と使えない通信機を投げ捨てる。どうやら私の通信機は巧妙な細工が施されているようで、戦闘中に使えた試しがなかった。
勝手に改造したみたらし団子型のレーションを貪りながら進む。あまり甘いものは好きじゃないので、極東らしく団子を作ってみた。もちゃもちゃと頬に詰めながら団子を食べていると、ようやく目標のオウガテイルの堕天種が見えたので先程手に入れたシユウのアラガミバレットを撃ち込む。始めこそ銃は得意でなかったが、今となっては中々使い勝手の良い武器になっていた。
火球の威力にダウンした隙に斬りかかる。普通のオウガテイルより硬くなっていたが、頭を叩き割れば同じだな、と冷静にショートブレードを振り下ろした。
ジジジッという無線の音に通信機を拾いに戻る。どうしてだか、この通信機は目標を殲滅すれば使えるようになるのだ。一々任務を監視しているとは、支部長殿は暇なのだな、と思いながら竹田オペレーターに任務完了を伝える。今日も今日とてジャミングを食らったのだと嘘を吐いた。どうせ怪我をしたところで私にとっては美味しいだけなので、死にそうになることと、パパが悲しい顔をすること以外に不都合はないのだ。

「これより輸送機が合流ポイントへと向かいますので、お気をつけてお帰りください」

「承知いたしました」

そんな言葉を最後に、いつもより怪我の少ない身体でアナグラへと帰投した。

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