とあるドMは神を喰らう - deer

デート相手の趣味が悪い男しかいない

第七部隊がウロヴォロスのコアの入手に成功したとのアナウンスが流れた。聞いたことのないアラガミの名だと思っていたが、どうやら今の私たちが相手では死人が出るレベルのアラガミらしい。超弩級という表現は誇張などではない山のようなアラガミだという。そんなアラガミを倒せる神機使いなど一人しか思い当たらない。なるほど、デートの相手とやらは相当厄介なようだ。
これも支部長殿の策略か、と一人考え込んでいるとどうしたのかとコウタに顔を覗き込まれる。いや、夕食はどうしようかと思ってな、と誤魔化せば、こんな時に飯のことかよ!と笑われてしまった。食い意地張ってんなー、なんて言うコウタの声を背に、任務の報告を終えたパパに駆け寄った。

「おかえり」

「ああ、ただいま。あれ助かったぜ、ありがとな」

「...あまり無理はしないでくれ」

「良い娘を持ってパパは幸せ者だな」

そう言って頭を撫でてくれたパパに、役に立てて良かった、と言って傍を離れる。強敵とやり合ったのだから疲れているに決まっている。私と話をするよりも休んで欲しい娘心があるのだ。
パパにこっそり渡せる回復錠を作るべく今日もキッチンに立つ。単独でウロヴォロスを相手にさせられるということは、本当にもう時間がないのかもしれない。その時に備えて、せめてもの用意をしておかなくては。
吸収率を上げるだけでなく、効果の持続や状態異常も回復する効果、それに根本的に回復量を増やすことが出来ればもっと役に立てるかもしれない。エリクサーというものがあれば強力な回復錠を作ることが出来るようだが、そんなものは新兵の私には手に入れようがなかった。
一番現実的なのは状態異常の回復も効果として加えることだが、効果を持続することが出来れば持ち運べる数に限りがあっても長時間の戦いに有効になるはずだ。
少しでも、少しでも、パパから死を遠ざけたい。どこか祈りに近いことを胸に、キッチンに立ち続けるのだった。

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